様々な生物発光イメージング技術開発が行われているが,一つの課題として,同時利用可能な生物発光システムが少ないことがある.複数の生命現象を同時に可視化するという極ありふれたニーズであるが,生物発光イメージングにおいては,基質交叉性や波長が問題で,実際に同時利用可能な発光システムは2~4種類程度に限られる.生物発光を利用したイメージング技術の進展のためには,交叉反応性を持たない同時利用可能な生物発光システムを増やすことが重要である. 本課題では,我々が開発した多色発光するホタルルシフェリンのアナログに対応し,特異的に発光活性を示すホタルルシフェラーゼ変異体を作製し,直交する基質アナログ-酵素変異体ペアによる独立した人工生物発光システムを創出し,生物発光システムバリエーションを飛躍的に増加させるという事を目指し研究を行った.①独自の多色ルシフェリンアナログ群と市販の7種類のルシフェラーゼとの掛け合わせを行い,発光活性データの取得を行った.②輝度と基質特異性に注目して良好な発光特性を示すルシフェリンアナログ・市販ルシフェラーゼの組み合わせをいくつか見出した.③そのうち,対応するルシフェリンアナログに対して,明るく特異的な変異ルシフェラーゼをランダム変異導入と発光スクリーニングにより創出し,RB発光を示す独立な人工生物発光システムの開発した.④開発したRB発光を示す2つの直交する人工生物発光システムを利用して細胞レベルのデュアルカラー発光イメージングを行った. 今後,人工基質/人工酵素の ペアをどんどん創出する事で,生物発光システムのバリエーションを飛躍的に増加させるという方向性を示すことができた.
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