研究課題
若手研究
光合成細菌の二酸化炭素固定への関与が推定される遺伝子の、実際の二酸化炭素固定への影響を明らかにするために、配列の情報から14の遺伝子を選定した。これらの遺伝子をそれぞれまたは複数高発現する株を計14株構築し、重炭酸ナトリウムを唯一の炭素源とした培地で光合成的に培養した結果、14株中6株で元の株よりも良好な生育を確認できた。またこの時の培養液中の重炭酸イオン濃度も、元の株と比較して減少していた。以上の結果から、二酸化炭素の固定に有用と考えられる遺伝子を6つ発見することができた。
応用微生物学
エネルギー源として化石燃料を中心に利用している現在の社会において、化石燃料の燃焼によって大気に放出される二酸化炭素を主原因とした地球温暖化は重大な懸念事項である。そのため、遺伝子組み換えによって微生物による二酸化炭素の利用能力を向上させることは、単純な二酸化炭素の削減にとどまらず、二酸化炭素から直接有用な物質を生産するために重要である。本研究によって6つの遺伝子が光合成細菌の二酸化炭素利用に応用できる可能性が明らかになった。この成果は持続可能な社会の実現の一助となりうると考えられる。