研究課題
本研究課題は稲わらの高品質化のため、稲わらの元となるイネ茎葉のシュウ酸含有量の低下を目指すとともに、植物のシュウ酸蓄積機構を明らかにするものである。代表者のこれまでの解析結果から、コシヒカリ(ジャポニカ型)の葉がタカナリ(インディカ型)の葉よりもシュウ酸含有量が4-10倍多いことが明らかとなっていた。このことから、イネの葉におけるシュウ酸含有量には品種間差があること、ジャポニカ型はインディカ型よりも何らかの遺伝的要因によりシュウ酸含有量が多い可能性が考えられた。そこで、昨年度は、イネの葉におけるシュウ酸含有量の品種間差を用いたシュウ酸合成機構の解析の一環として、農研機構農業生物資源ジーンバンクより分譲していただいた世界のイネ・コアコレクション(WRC)および日本のイネ・コアコレクション(JRC)の計107品種のシュウ酸含有量の違いを明らかにした。すなわち、CE-MSを用いて東京農工大学FM本町で育成した出穂期のイネの止葉におけるシュウ酸の定量を行い、品種間比較を行った。その結果、イネのシュウ酸含有量は多様であり、品種間で20倍以上も異なることを見出した。さらに、当初の予測通り、ジャポニカ型の品種はインディカ型やアウス型の品種に比べて有意にシュウ酸含有量が多いことを明らかにした。これらのことから、イネの葉におけるシュウ酸含有量は多様であり、また、栽培化の過程で起きた何らかの原因によりジャポニカ型の品種ではシュウ酸含有量が多く、逆にインディカ型やアウス型の品種の葉ではシュウ酸が少なくなった可能性が考えられる。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (16件) (うち招待講演 1件)
Journal of Plant Research
巻: 136 ページ: 97-106
10.1007/s10265-022-01420-w
Annals of Botany
巻: 131 ページ: 423-436
10.1093/aob/mcac156
Journal of Plant Physiology
巻: 283 ページ: 153950
10.1016/j.jplph.2023.153950
Communications Biology
巻: 5 ページ: 432
10.1038/s42003-022-03399-5
Plant Biotechnology
巻: 39 ページ: 147-153
10.5511/plantbiotechnology.22.0122a
Metabolomics
巻: 18 ページ: 95
10.1007/s11306-022-01958-9