研究課題
近年、母乳オリゴ糖分解酵素(LnbX)に対して特異的に作用するシャペロン(LnbY)が発見されたが、相同配列が既知のシャペロンに限らず見つからないため機能を推測することができていない。そこで本研究課題では、LnbXの下流に存在し菌体外で働くと推測される専用シャペロンLnbYによるLnbXのフォールディング作用機構を明らかにすることを目的とした。発見した4つのLnbXホモログとそれらの専用シャペロンをシャッフルさせて全ての組み合わせにおけるフォールディング活性の有無を大腸菌の発現株を用いて共発現させて調べることでシャペロンの特異性を明らかにした。その特異性の情報を元に、構造解析に成功している3つのLnbXホモログの構造情報に基づき共通点を見出し、シャペロンのフォールディング機構を推察することが可能となった。それぞれ別々に発現し精製したunfolded-LnbXとLnbYをin vitroで混合しフォールディング過程を調べようと試みたが、フォールディングしなかったことからin vitroでフォールディングさせるためにはさらなる条件検討が必要であることがわかった。シャペロンの構造解析に関して、これまで結晶構造解析に成功していなかったLnbYのホモログであるBsaYの結晶構造を分解能2.18 Åで明らかにすることに成功した。位相はSe-SADを用いて決定した。7本のαヘリックスからなる構造をしていることがわかった。機能を明らかにするという目的の中で大きな一歩となった。さらに、溶液中での構造を明らかにするためにSEC-MALSおよびSEC-SAXS解析をKEKで行なった。その結果、BsaYと類似しているLnbYは溶液中では、動きがあることがわかった。またunfolded-LnbXはvoidの状態で存在していることからSEX-SAXS測定の適用範囲外であることが示された。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 86 ページ: 464-475
10.1093/bbb/zbac015