研究実績の概要 |
ビタミンDは生体内で25-ヒドロキシビタミンD3(25D3)、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25D3)に順次水酸化されて、生理活性の高い物質へ変換される。1,25D3は様々な生理作用を発揮するが、胚発生、臓器形成、発達過程で1,25D3はどこに存在するのか?生体の脳や腎臓等の臓器のどの部分にどの程度存在するのか、あるいは癌やアルツハイマー病等の病変組織においては1,25D3が不足しているのか?これらは謎に包まれたままである。その理由は、生体内の1,25D3の局在部位を可視化する方法が存在しないからである。従って、生体内の1,25D3を可視化する方法が開発できれば、生体での1,25D3の局在部位や作用メカニズムを解明できる可能性が高い。 本研究は、分割型ルシフェラーゼと生物発光共鳴エネルーギー転移の技術を組み合わせ、発光と蛍光でビタミンD受容体(VDR)のリガンドである25D3や1,25D3を高感度に検出するバイオセンサーを構築するのが目的である。本バイオセンサーにより、生体内における25D3や1,25D3の可視・定量化が可能となれば、上述の問題を解決できる可能性がある。 2018年度前半は、分割型ルシフェラーゼの技術を用いて、25D3や1,25D3に応答して発光が増加するバイオセンサーの構築に注力した。2018年度後半は、遺伝子工学的手法を駆使し、発光変化量や発光強度のより大きいものへの改良を施した。最終的に、検出感度の高いバイオセンサーの構築に成功した。
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