研究実績の概要 |
本研究は、分割型ルシフェラーゼと生物発光共鳴エネルーギー転移(BRET)の技術を組み合わせ、発光と蛍光でビタミンD受容体(VDR)のリガンドである25D3や1,25D3 を高感度に検出するバイオセンサーを構築するのが目的である。本バイオセンサーにより、将来的には生体内における25D3や1,25D3の可視・定量化を目指す。 2018年度は、分割型ルシフェラーゼの技術を用いて、25D3や1,25D3に応答して発光が増加するバイオセンサーの構築に注力した。遺伝子工学的手法を駆使して、発光変化量や発光強度のより大きいものへの改良を施し、検出感度の高いバイオセンサーの構築に成功した。 2019年度は、蛍光タンパク質の選定、バイオセンサー中への(GGGGS)リンカー配列の挿入、LXXLL配列の最適化、大腸菌発現系を用いたin vitroアッセイ系の構築を行う計画であった。蛍光タンパク質の選定において、なかなか良好な結果が得られなかったため、LXXLL配列の最適化に注力した。30種類のLXXLL配列の中から、発光量・変化量の大きいものを見出し、大腸菌発現系を用いたin vitroアッセイ系の構築に持ち込んだ。アッセイ系に用いるバイオセンサーのタンパク質量、反応液組成、温度、検出時間などの条件検討を行い、再現性・定量性の高いアッセイ系の構築に成功した。しかし、蛍光タンパク質の選定、BRET法については、最後までうまく行かなかったため、当初予定していたVDRリガンドの可視・定量化を実現することができなかった。今後、問題点の解明および解決策を検討して進めていく予定である。
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