研究課題
本研究では、昆虫に食害されたイネからイソペンチルアミンが増加することを見出し、生合成や誘導についての以下の知見を初めて明らかにすることができた。1.イネにおけるイソペンチルアミンの誘導は、咀嚼性昆虫だけでなく、トビイロウンカのような吸汁性昆虫によっても起こることを明らかにした。また、本化合物の誘導は全身応答ではなく,傷害部付近における局所的な反応であることがわかった。2.イネにおけるイソペンチルアミンの蓄積は、ジャスモン酸経路による活性化により誘導されることを明らかにした。一方で、アブシジン酸,1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸,サリチル酸を処理したイネでは、イソペンチルアミンは増加しないことがわかった。3.イネではロイシンの脱炭酸反応によりイソペンチルアミンが生じることを示した。また、日本晴とカサラスの染色体断片置換系統(CSSL)と組換え自殖系統(RIL)を用いた実験から,10番染色体に生合成に関与する遺伝子が存在することが分かった.4.イソペンチルアミンを吸収させたイネをトビイロウンカに与えたところ,実験開始3日目以降の生存率が低下した。一方、クサシロキヨトウにイソペンチルアミンを添加したイネを与えても、通常のイネを与えた場合に比べて幼虫の成長や生存率の変化は確認されなかった。したがって、イネ葉におけるイソペンチミンの増加は、吸汁性昆虫の生存率を低下させ、防御物質として働いている可能性があることがわかった。
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Plant, Cell & Environment
巻: 44 ページ: 247-256
10.1111/pce.13902