本研究では、試薬/触媒充填型連続フロー反応を活用し、二酸化炭素を原料とした生合成模倣アミノ酸合成法の確立を目的とする。本研究の鍵となる炭酸固定反応において、初年度はアシルアニオンと二酸化炭素の連結反応が十分に進行しなかった。これは二酸化炭素の反応性がきわめて低いことに起因すると考えており、さらなる反応の検討を計画した。まずはアルデヒドとチアミンの複合体をあらかじめ調製しておき、複合体と種々の求電子剤の連結を検討した。すなわち、5種類のアルデヒド-チアミン複合体に対して、二酸化炭素の代わりにイソシアナートを用いて、塩基としてトリエチルアミン、炭酸ナトリウム、ジアザビシクロウンデセン等7種類、溶媒としてアセトニトリル、テトラヒドロフラン等4種類、添加剤としてスカンジウムトリフラート、塩化カルシウム、炭酸銀等7種類を組み合わせて反応条件を検討した。その結果、トリエチルアミン-アセトニトリルの組み合わせで反応させた際に十分な収率でα-ケトカルボン酸類縁体が得られることを見出した。最適化した反応条件を用いると、求電子剤として二酸化炭素を用いた場合にも中程度ながら反応が進行し、目的とするα-ケトカルボン酸が得られた。なお、チアミンの代わりにシアン化物イオンを用いた際にもα-ケトカルボン酸が得られることを確認した。
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