研究課題/領域番号 |
18K14404
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鈴木 浩史 新潟大学, 研究推進機構, 特任助教 (60791382)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 乳酸醗酵酒粕 / 総コレステロール / 非アルコール性脂肪性肝炎 |
研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)モデルマウスを用いて、乳酸醗酵酒粕混合飼料(乳酸醗酵酒粕を高脂肪食に混ぜたもの)を摂取させて、摂取前後の糞便を回収し、糞便中の胆汁酸や総コレステロール値の解析を行った。対照として、高脂肪食のみを摂取させた群を用いた。乳酸醗酵酒粕混合飼料は高脂肪食を総カロリーが等しくなるように調節した。解剖時には、全血液と肝臓を摘出した。血液については、脂質や肝機能の評価に用いた。肝臓については、NASHの進行について組織学的評価を行うために用いた。 結果として、乳酸醗酵酒粕混合飼料を摂取させた群では、対照群と比較して胆汁酸や総コレステロール排泄が増加することが確認された。血中総コレステロール値についても、乳酸醗酵酒粕混合飼料摂取群では対照群と比較して総コレステロール値の上昇が抑制されていた。血糖値については、乳酸醗酵酒粕混合飼料摂取群と対照群で変化は見られなかった。肝機能についても、乳酸醗酵酒粕混合飼料摂取群と対照群で明らかな変化は確認できなかった。肝臓の組織学的評価においては、乳酸醗酵酒粕混合飼料摂取群では、対照群と比較して肝臓の脂肪滴が少なく、脂肪肝の発症抑制が確認できた。 以上の結果をまとめると、NASHモデルマウスを用いて乳酸醗酵酒粕混合飼料の摂取させることによって、酒粕で報告されていることと同様に、血中総コレステロール値の上昇抑制ならびに糞中の総コレステロールおよび胆汁酸の排泄増加を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目の研究計画として、NASHモデルマウスを用いて乳酸醗酵酒粕の糞中総コレステロール排泄の増加ならびに血中総コレステロール値の上昇抑制効果を確認することをその目的としていたが、その目的についてはおおむね達成することができた。 2年目の研究の目的については、その機序についての解析を進めていく。 そして、3年目の研究計画としてヒト臨床試験を行っていくにあたり、その準備を進めていくことも2年目の計画の目標として定めて研究を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
乳酸醗酵酒粕混合飼料による血中総コレステロール値の上昇抑制ならびに糞中の胆汁酸および総コレステロールの排泄増加の機序として、乳酸醗酵酒粕による腸管内での胆汁酸の吸着に伴う糞中胆汁酸および総コレステロールの排泄増加、そしてそれに次ぐ肝臓での脂肪酸合成促進による血中コレステロール値の低下が考えられる。今後は、摘出した肝臓を用いて、脂肪酸合成についての解析を進める。同時に、抗酸化マーカー、抗炎症マーカー、抗アポトーシスマーカー等を測定し、その変化についての評価を行う。 さらに、2年目においては、3年目の計画としてヒトでの臨床試験を行っていくにあたり、その準備を進めていく。
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