市販の柑橘果実飲料2種(ウンシュウミカンおよび河内晩柑)の抗酸化能(H-ORAC値)を測定した。ウンシュウミカン、および河内晩柑のH-ORAC値はそれぞれ14.4、および9.13 mmol TE/Lだった。C57BL/6Jマウス(12週齢、雄性)を普通食群(D12450J、リサーチダイエット社)および高脂肪食群(D12492、リサーチダイエット社)に分け、それぞれの群に水、水で2倍希釈した柑橘果実飲料を10週間投与した。試験終了時は16時間絶食した後解剖し、血中における生化学的マーカーおよび酸化ストレスマーカーの測定を行った。更に、フローサイトメトリー解析により肝臓におけるマクロファージの検出を行った。試験期間中の摂餌量および摂水量に群間の差異は認められなかった。10週間投与後の体重、肝臓重量、および精巣上体脂肪重量は高脂肪食群で普通食群より増加し、柑橘果実飲料は高脂肪食摂取による体重および肝臓重量増加を有意に抑制したが、精巣上体脂肪重量には影響は認められなかった。また、柑橘果実飲料は高脂肪食摂取による血糖値およびインスリン値の上昇を抑制しなかった。一方、柑橘果実飲料は高脂肪食摂取による酸化LDLコレステロール値の増加抑制、および肝臓中のM1マクロファージの増加抑制効果が認められた。抗酸化能の違いによる影響に関して、抗酸化能が高いウンシュウミカン摂取群の方が酸化LDLコレステロール値やM1マクロファージ量が低い傾向は認められたが、有意な差はなかった。また本試験では、柑橘果実飲料による抗肥満効果が認められた為、食品の持つ抗酸化能による影響が観察されにくい結果となった。
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