研究課題/領域番号 |
18K14431
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研究機関 | 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 |
研究代表者 |
鈴木 一平 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究部, 研究員 (00812439)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 酵素精製 / リボヌクレオチドリダクターゼ / RNR / ビタミン12 / VB12 |
研究実績の概要 |
食品中のビタミンB12 (VB12) を酵素活性を指標にすることで簡易に定量する方法の開発を目的とした研究を遂行している。 昨年度までに、VB12を補酵素とする酵素として、乳酸菌のリボヌクレオチドリダクターゼ (RNR) が食品中のVB12濃度を測定するうえで有望であることを文献調査、データベース調査を用いた研究により推定した。 今年度は、大腸菌の大量発現系構築によってリコンビナントRNR (reRNR) 精製を行い、酵素活性のVB12濃度依存的な変動を測定することを目的として研究を行った。 この結果、遺伝子組換え酵素reRNRの精製に成功した。次いで、反応液中の還元剤であるジチオトレイトール (DTT) の酸化によるスペクトル変化を分光光度計で測定する方法や、RNRが触媒する反応の反応産物 (CTP→dCTP) をLC-MSによって測定することで、reRNRの酵素活性測定を行った。 この結果、reRNRによるVB12依存的な活性増加が観察された。この結果から、食品中のVB12にもreRNRが同様に反応することで、食品中のVB12濃度測定へ応用可能であることが示唆された。 しかし、先行論文に示されている現状のRNR活性の測定条件を用いて研究を行ったが、現状のreRNRの活性では微量の食品中VB12との相互作用を測定するために、大量のreRNRと反応時間が必要となることが予想され、簡便で感度の良いreRNRの活性測定条件について今後詳細に検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ研究実施計画通りに進行しているが、課題も生じている。 本年度は、ビタミンB12 (VB12)を補酵素とする酵素である乳酸菌のリボヌクレオチドリダクターゼ (RNR) を、大腸菌の大量発現系構築によって精製を行い、酵素活性の測定を行った。 この結果、reRNRによるVB12依存的な活性増加が観察されたことから、食品中のVB12にも同様に反応することで、食品中のVB12濃度測定へ応用可能であることが示唆された。 しかし、先行論文に示されている現状のRNR活性の測定条件を用いて研究を行ったが、現状のreRNRの活性では微量の食品中VB12との相互作用を測定するために、大量のreRNRと反応時間が必要となることが予想され、簡便で感度の良いreRNRの活性測定条件について今後詳細に検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はreRNRの酵素活性測定法の詳細を検討し、reRNRを用いたVB12濃度測定法が実際の食品分析に用いる事を可能とするプロトコールを完成させる。 また、食品中VB12分析法としてのバリデーション試験を行い、データが得られた段階で新規分析法として論文を取りまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末のセールなどによって物品購入価格が割引され、差分が生じた。
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