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2018 年度 実施状況報告書

PPRネットワークから理解する植物ミトコンドリアのRNA制御メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 18K14435
研究機関名古屋大学

研究代表者

一瀬 瑞穂  名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任助教 (60755718)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードRNA結合タンパク質 / PPR / 葉緑体 / ミトコンドリア / 転写後制御 / RNA安定化 / RNAスプライシング / RNA編集
研究実績の概要

植物オルガネラであるミトコンドリアと葉緑体の遺伝子発現は多くの核コード因子によって厳密に制御されており、その中でもpentatricopeptide repeat (PPR)タンパク質が中核的な役割を担っている。本研究はPPRの分子機能を明らかにすることで、オルガネラ遺伝子の発現制御メカニズムの解明を目的としている。本年度は、PPR遺伝子破壊株の作製、標的RNA分子の同定および結合RNA領域の特定を行った。
(1)RNA編集PPR因子が持つDYWドメインがRNA編集反応を触媒するシチジンデアミナーゼである可能性が高いこと、そして編集部位の認識に寄与していることを明らかにした。
(2)葉緑体局在型PpPPR_21が光化学系IIのサブユニットをコードするpsbI遺伝子を含むpsbI-ycf12 dicistronic mRNAの安定化に関与することを明らかにした。さらに、組換えPpPPR_21を用いたin vitro RNA結合実験を行い、PpPPR_21がpsbIの5'-UTR領域に特異的に結合することを明らかにした。
(3)ミトコンドリア局在型PPR KO株を取得し、解析を行った。KO株は著しい生育遅延を示し、ミトコンドリア全mRNA遺伝子の発現量をリアルタイム定量RT-PCRで調べた結果、KO株では呼吸鎖複合体Iのサブユニットをコードするnad7 mRNAの蓄積量が低下していることを見出した。さらにノーザン解析からKO株では成熟nad7 mRNAが蓄積していないことが観察され、このPPRがnad7 mRNAの安定化に関与することを明らかにした。
(4)2種のミトコンドリア局在型PPRが特定の遺伝子のRNAスプライシングに関与することを明らかにし、結合RNA領域も特定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

DYWドメインの機能解析とPpPPR_21の機能解析の成果をPlant and Cell Physiology誌とPlant Journal誌にそれぞれ発表した。また新たに複数のPPR遺伝子破壊株を取得し、そのうち3種のPPRの標的RNAと分子機能を明らかにすることができたので、進捗状況としてはおおむね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

(1)新たなPPR変異株の解析を行う。これまで取得したPPR変異株を用いて葉緑体NDH活性のスクリーニングを行ったところ、NDH活性欠損株を複数取得することに成功した。今後は葉緑体コードの11種のndh遺伝子のRNAレベルを調べ、標的RNAを同定する。
(2)ミトコンドリア局在型PPRについてはqPCRやマイクロアレイを用いて変異株における遺伝子発現レベルへの影響を網羅的かつ定量的に調べる。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していたキットの購入費と旅費が安く済んだため。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] The P-class pentatricopeptide repeat protein PpPPR_21 is needed for accumulation of the psbI-ycf12 dicistronic mRNA in Physcomitrella chloroplasts.2019

    • 著者名/発表者名
      Ebihara, T., Matsuda, T., Sugita, C., Ichinose, M., Yamamoto, H., Shikanai, T. and Sugita, M.
    • 雑誌名

      Plant Journal

      巻: 97 ページ: 1120-1131

    • DOI

      10.1111/tpj.14187

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The DYW Domains of Pentatricopeptide Repeat RNA Editing Factors Contribute to Discriminate Target and Non-Target Editing Sites.2018

    • 著者名/発表者名
      Ichinose, M. and Sugita, M.
    • 雑誌名

      Plant and Cell Physiology

      巻: 59 ページ: 1652-1659

    • DOI

      10.1093/pcp/pcy086

    • 査読あり
  • [学会発表] ヒメツリガネゴケのミトコンドリアP-class PPRタンパク質の機能解析2019

    • 著者名/発表者名
      一瀬瑞穂、杉田 護
    • 学会等名
      第60回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] 葉緑体ndh遺伝子の転写後制御に関わるPPRタンパク質2019

    • 著者名/発表者名
      伊藤綾花、杉田千恵子、一瀬瑞穂、加藤義宣、山本 宏、鹿内利治、杉田 護
    • 学会等名
      第60回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] Pクラス・ペンタトリコペプチドタンパク質は葉緑体psbI-ycf12 mRNAの蓄積に必要である2019

    • 著者名/発表者名
      海老原哲男、松田拓也、杉田千恵子、一瀬瑞穂、山本 宏、鹿内利治、杉田 護
    • 学会等名
      第60回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] PPR proteins as post-transcriptional regulators in plant organelles2018

    • 著者名/発表者名
      Ichinose, M., Sugita, C., Ishimaru, A., Ito, A. Ebihara, T. and Sugita, M.
    • 学会等名
      International Symposium on Photosynthesis and Chloroplast Biogenesis 2018
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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