研究課題
本研究では、申請者がこれまでに同定した炭疽病菌のエフェクター分泌阻害剤を用い、エフェクター分泌の分子機構の解明・解析手法の開発を目的とした。これまでに、同定したエフェクター分泌阻害剤28種について、酵母において確立されたケミカルジェネティクスを用いた機能アノテーションを実施した。その結果、少なくとも2種の化合物(P7、P21)の標的候補遺伝子に分泌関連遺伝子が含まれていることをあきらかにした。そこでP7の薬剤耐性株を分裂酵母で取得し、原因遺伝子の探索を試みた。3株の独立した薬剤耐性株を取得したが、3株に共通した変異は見られなかった。次に、逆遺伝学的手法を用いて、P7の標的候補遺伝子の同定を試みた。ケミカルジェネティクスを用いて同定されたP7の標的候補遺伝子をウリ炭疽病菌での遺伝子破壊を試みたが、欠損株が取得できなかった。遺伝子破壊に引き起こす相同組み換えの効率を上昇させる目的で、CRIPSR/CAS9システムを用いた遺伝子破壊法を開発した。メラニン合成酵素PKS1を標的に遺伝子破壊を実施したところ、CRISPR/CAS9の使用により、遺伝子破壊効率を約18倍にまで上昇させることに成功した。また昨年度までに開発したマーカーリサイクリング法も組み合わせ、分泌関連遺伝子の破壊を実施した。これまでのところ、病原性に関連する遺伝子は得られてない。今後は、エフェクター分泌阻害剤に結合する炭疽病菌タンパク質のケミカルバイオロジー的手法を用いた同定を計画している。
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bioRxiv
巻: - ページ: -
https://doi.org/10.1101/2020.04.28.061093
Genome Biology and Evolution
巻: 11 ページ: 1487~1500
https://doi.org/10.1093/gbe/evz087