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2020 年度 実施状況報告書

葉原基分化のタイミングを制御する分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K14445
研究機関国立遺伝学研究所

研究代表者

三村 真生  国立遺伝学研究所, 遺伝形質研究系, 特別研究員(PD) (80790378)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードイネ / 葉間期 / 葉原基 / 発生・分化
研究実績の概要

本研究ではイネを中心とした葉原基分化の時間的間隔である葉間期を制御する分子機構の解明を目的としている。そのために、葉間期に異常を示す突然変異体pla1、pla2変異体とその原因遺伝子の解析を中心に進めている。本年度は以下の解析を行った。
・前年度までの解析でRNA結合タンパク質であるPLA2と結合する標的候補RNAを700個ほど同定した。GO解析を行った結果、葉の発生に関与する転写因子が有意に多く含まれていることが判明した。
・上記の標的RNAの中で葉間期制御に関わりが深い遺伝子を選び、結合すると予測されたRNAの3'UTRの部分配列を用いてゲルシフトアッセイを行った。その結果、PLA2と標的RNAはin vitroで結合することが判明し、またコンセンサス配列と予測される箇所に変異を導入するとその結合性がほぼ失われた。従って、PLA2はその標的RNAと直接結合して翻訳などの転写後制御を行うことが考えられた。
・PLA2と結合するRNAのうち、上記の葉間期制御に関与する遺伝子に着目して、PLA2結合配列に変異を導入したもの、もしくは3’UTRを欠損させた植物体を作成した。後代種子を収穫したのち、表現型の解析を行う。
・葉原基分化にはオーキシンなどの植物ホルモンが深く関わっている。そこで、オーキシン応答性レポーターをpla変異体で発現させた植物体を作成し、pla変異体の茎頂分裂組織において上記ホルモンの応答性を抗体染色により調査した。その結果、変異体ではオーキシン応答性レポーターの発現が野生型と比較して弱まっていることが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

PLA2の標的RNAとの結合能を示せたことは大きな進展であり、また植物ホルモンと葉間期との関連性についても一定の進捗はあったと考える。しかし、依然としてPLA2標的候補因子の抗体作成が滞っており、実際にPLA2が植物生体内で標的RNAにどのような影響を与えているのかまで明らかにできていない。以上のことを考慮してやや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

今後はまず、植物ホルモン応答性レポーターの発現とPLA2のタンパク質局在の変化、そしてPLA2標的RNAの発現を葉原基分化の時系列に沿って観察し、これらの関連性について調査する。次に、PLA2の結合モチーフの重要性を調べるために、標的RNAのコンセンサス配列に変異を入れたもの、及び3’UTRを欠損させた植物体の表現型を解析する。PLA2の標的RNAがコードするタンパク質の抗体作製は引き続き試みるとともに、PLA2の分子機能を解明するための代替手段としてリボソームプロファイルの実施も検討する。

次年度使用額が生じた理由

外注していた抗体の作製がうまくいかなかったため、別の配列を用いた抗原タンパク質を用いて再度抗体作製を試みる。また、抗体作製がうまくいかなかった場合の代替手段としてリボソームプロファイルなどの実験を行うことも検討しているので、その試薬及びシーケンス外注費用として使用することを考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] オオムギ多節矮性変異体を用いた葉間期制御に関わる3遺伝子座の同定2021

    • 著者名/発表者名
      桧原 健一郎, 味谷 雅之, ベン ヴェヌート アキラ, 桧原(松 尾)直子, 三村 真生, 吉川 貴徳, スズキ マサハル, 草場 信, 武田 真, 伊藤 純一
    • 学会等名
      日本育種学会第139回講演会

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公開日: 2021-12-27  

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