研究課題/領域番号 |
18K14452
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
田中 貴 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (20805436)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 大規模区画圃場 / 2年3作輪作体系 / リモートセンシング / 空間変動解析 |
研究実績の概要 |
大規模区画圃場で実施される輪作体系において、作物の収量・品質に及ぼす要因を、大規模区画圃場の前歴・作物の前作と後作との相互関係(水稲栽培の作業体系が後作に及ぼす影響を含む)などの観点から明らかとし、輪作体系全体の生産性・安定性・持続性を確保する方策を提示することを目的としている。 1.大規模区画圃場における作物の収量・品質を支配する土壌特性値の空間変動解析:小麦・大豆播種前に、15m×10mメッシュの交点上において、土壌を採取し、一般的な土壌特性値の分析を行った。セミバリオグラムによる空間依存性の評価を実施したところ、試料採取の間隔は、30m×30mメッシュでも十分であることが明らかとなり、次年度以降の調査方法の簡略化が可能であることが明らかとなった。また、大豆の個体密度は、主に粘土含量の空間分布に規定されることを明らかにした。 2.ドローンを用いた作物の非破壊調査と収量・品質との関係性の解析:作物の生育中に、マルチスペクトルカメラを搭載したドローンによる植生指数の評価を実施した。出穂期以降の植生指数から小麦の収量予測が可能ではあるが、子実タンパクと植生指数との間には有意な相関関係は求められなかった。大豆は開花期の植生指数によって、個体密度の推定が可能であることを明らかにした。大豆の低収要因は主に不安定な苗立ちであったため、本技術を活用することで大豆の苗立ちが不安定になりやすい場所を特性できると期待される。 3.水稲の乾田直播が小麦の収量・品質に影響する仮説モデルの構築:小麦・大豆の収量・品質に及ぼす影響を考察した仮説モデルを作成し、小麦・ 大豆の収量・品質に及ぼす影響は、「土壌分析値の空間依存性に起因するものなのか」もしくは「水稲栽培の作業体系に起因するものなのか」を明らかにすることを目的としているが、来年度以降のデータも踏まえ解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作物の収量・品質の空間変動を評価するために、岐阜県海津市の大規模区画圃場における土壌調査および転作小麦・大豆の収量調査を実施し、基礎データを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
得られたデータを解析することで、小麦・大豆の収量・品質に及ぼす影響を考察した仮説モデルを作成し、小麦・ 大豆の収量・品質に及ぼす影響は、「土壌分析値の空間依存性に起因するものなのか」もしくは「水稲栽培の作業体系に起因するものなのか」を明らかにすることを本研究の目的としている。そこで、今後も継続して現地調査を実施しデータを蓄積する予定である。
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