研究実績の概要 |
1穂籾数増加遺伝子を導入した準同質遺伝子系統では,1穂籾数は顕著に増加するものの登熟歩合の低下により収量への貢献度が低いことが課題となっている. 本年度は,NERICA1に異なる1穂籾数増加機構をもつGn1aおよびWFPを導入した3系統 (NERICA1-Gn1a, NERICA1-WFP, NERICA1-Gn1a+WFP) と親品種であるNERICA1を供試し,ケニアの3か所の地域(ムエア,アルーペ,ムトゥワパ)において圃場試験を実施した.供試した3系統の収量構成要素を調査したところ,すべての栽培地域で,NERICA1-Gn1aの登熟歩合が最も低かった.このことから,環境要因に関係なく,WFPを導入した系統 (NERICA1-WFP, NERICA1-Gn1a+WFP) は,Gn1aのみを導入した系統より,登熟歩合を高く維持すると考えられた. また,ムエアでは,標準施肥区に加え,窒素施肥量を変化させた処理区を設けて,収量構成要素を調査した.窒素施肥量を増加させると,いずれの系統も1穂籾数は増加しにくく,登熟歩合の低下も大きかったため,籾収量は増加しなかった. 加えて,IRAT109にGn1aおよびWFPを導入した系統 (IRAT109-Gn1a, IRAT109-WFP, IRAT109-Gn1a+WFP) の収量構成要素を調査した.その結果,IRAT109に1穂籾数増加遺伝子を導入した3系統 (IRAT109-Gn1a, IRAT109-WFP, IRAT109-Gn1a+WFP) は,NERICA1に1穂籾数増加遺伝子を導入した3系統 (NERICA1-Gn1a, NERICA1-WFP, NERICA1-Gn1a+WFP) と比較し,親品種に対する登熟歩合の低下が大きかった.遺伝子的背景の違いにより,登熟歩合の低下程度が異なることが明らかとなった.
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