研究課題/領域番号 |
18K14464
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
深野 祐也 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (70713535)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 耕うん / 雑草 / 進化 / 抵抗性 |
研究実績の概要 |
田畑の雑草は農作物の収量を大きく減少させるため、現代の農業では主に除草剤の散布と機械による耕うんというふたつの方法によって効率的に雑草を抑制している。雑草が除草剤への抵抗性を進化させる現象は広く研究されている一方、耕起が雑草に与える生態・進化的な影響はほとんど検証されていない。本年度は、主に耕うんが雑草に与える生態学的な影響を調べた。耕うんをある種の環境フィルターとして捉え、耕うんによってどのように雑草群集が変化するか、またその変化にどのような形質が関わっているかを定量化した。耕起前・耕起後の雑草群集を比較することで、いくつかの雑草が耕起後も再生しやすいことが分かった。これらの雑草に共通する形質を推定するために、種ごとの形質を測定または文献から抽出し、耕起後の生残率を応答変数として重回帰分析を行ったところ、いくつかの形質が生残率にプラスの効果を持つことが分かった。これらの形質が耕うんに強い雑草に共通する形質といえるだろう。 耕うんが雑草の進化に与える進化的影響を調べるために代表的な畑地雑草であるメヒシバDigitaria ciliarisをモデルとして研究を行う予定である。本年度は、耕うん履歴の異なる20集団から種子を採集し、実験室内で発芽させ栽培し自殖させることで、次世代の種子を採集した。来年度は、これら自殖系統を用いて集団間比較することで、耕うんが雑草に与える進化的な影響を調査する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、引き続き耕うんによる雑草群集の変化とそれに関わる形質を調べることで耕うんによる生態学的な影響を定量化する。また、作出した自殖系統を用いて集団間比較することで、耕うんが雑草に与える進化的な影響を調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
想定よりも実験が前倒しで進行したため、諸経費が低くなった。また、消耗品などをうまく使いまわすことで、経費を抑えることができた。
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