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2019 年度 実績報告書

紋枯病に対する植物の抵抗性発現機構の分子基盤

研究課題

研究課題/領域番号 18K14469
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

香西 雄介  国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (50783502)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード病害抵抗性 / 紋枯病 / イネ科植物 / サリチル酸 / トランスクリプトーム
研究実績の概要

紋枯病はイネ科植物の重要病害である。研究代表者らは、植物ホルモンであるサリチル酸(SA)がイネとその近縁のミナトカモジグサに紋枯病抵抗性を誘導することを見出した。本研究では、SA依存的な植物の紋枯病抵抗性機構の分子基盤を明らかにすることを目的とする。
NPR1は、シロイヌナズナのSAシグナル経路の正の調節因子である。研究代表者らは、ゲノム情報を利用したシンテニーと相同性の解析からミナトカモジグサにおけるNPR1ファミリー遺伝子群を同定した。これらの形質転換体を用いた解析により、本植物のSA依存的な遺伝子発現を正に調節するNPR1ファミリー遺伝子を明らかにした。
ミナトカモジグサには系統特異的な紋枯病抵抗性が存在する。この実体を明らかにするために菌感染過程における時系列比較トランスクリプトーム解析を行った。この結果、抵抗性系統のBd3-1とTek-3では、WRKY転写因子によって制御される防御応答遺伝子が罹病性系統のBd21と比べて速やかに発現誘導されることが明らかとなった。BdWRKY38はSA誘導性であり、抵抗性系統の遺伝子制御ネットワークで特異的にハブを構成していた。Bd3-1背景におけるRNAiラインの解析から、BdWRKY38は系統特異的な紋枯病抵抗性に必要であることを明らかにした。また、SA分解酵素の強発現によってもBd3-1の紋枯病抵抗性が低下することがわかった。以上の結果から、ミナトカモジグサにおける系統特異的な紋枯病抵抗性はSA依存的であり、BdWRKY38はSAシグナル経路の下流で抵抗性の主要な調節因子として機能することが示された。免疫応答の速やかな活性化による感染阻止とSA依存的な病害抵抗性は、非親和性病原菌に対する宿主植物の応答性と類似している。本研究の結果は、広範な宿主域を持つ殺生菌である紋枯病菌に対しても非親和性の抵抗性反応が起こりえることを示唆する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] 微生物分子パターンに対するミナトカモジグサの活性酸素種生成特性の解析2019

    • 著者名/発表者名
      小笠原翼、松井英譲、山本幹博、一瀬勇規、豊田和弘、香西雄介、能年義輝
    • 学会等名
      平成31年度日本植物病理学会大会
  • [学会発表] Rapid activation of WRKY-dependent immunity facilitates native resistance against the sheath blight pathogen, Rhizoctonia solani, in Brachypodium distachyon2019

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Kouzai
    • 学会等名
      4th International Brachypodium Conference
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Time-series transcriptome analysis of Brachypodium distachyon in response to infection by Rhizoctonia solani2019

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Kouzai, Komaki Inoue, Minami Shimizu, Yukiko Uehara-Yamaguchi, Kotaro Takahagi, Yoshiteru Noutoshi, Keiichi Mochida
    • 学会等名
      2019 IS-MPMI XVIII CONGRESS
    • 国際学会
  • [学会発表] Characterization of expression profiles of effector genes of Rhizoctonia solani on Brachypodium distachyon2019

    • 著者名/発表者名
      Sobhy S. H. Abdelsalam, Satoshi Isoya, Megumi Watanabe, Yusuke Kouzai, Hidenori Matsui, Mikihiro Yamamoto, Yuki Ichinose, Kazuhiro Toyoda, Seiji Tsuge, Yoshiteru Noutoshi
    • 学会等名
      2019 IS-MPMI XVIII CONGRESS
    • 国際学会
  • [学会発表] ミナトカモジグサを用いたイネ紋枯病の研究2019

    • 著者名/発表者名
      香西雄介
    • 学会等名
      日本植物病理学会関東部会第14回若手の会

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公開日: 2021-01-27  

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