外来種モザンビークティラピア(以下ティラピア)の不妊雄を野外水域に放ち,繁殖を阻害することで生息数を減じさせる駆除技術の効果検証と開発が本研究の目的である。 ティラピアの生息する野外の閉鎖的な人工池3ヵ年にわたり,物理的な駆除と不妊オスの放流を行ったところ,目視できる繁殖なわばり雄の約9割が不妊雄に占められた状況下においても,次世代を減じる効果が不明瞭であった。水槽実験においても不妊雄の比率が95%条件下でも約半数の雌が受精卵を抱卵しており,その要因として雌の重婚が指摘された。本研究では,ティラピアの強い繁殖力により,当初の目的である不妊雄による駆除は困難であることが示された。
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