研究課題/領域番号 |
18K14486
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
土屋 一彬 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40615639)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 緑被分布図 / NDVI / 都市圏 / 自然体験頻度 / 緑視率 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、自然体験に利用されやすい二次的自然の特質を都市間比較を踏まえて解明することである。これにより優先的に保全管理すべき二次的自然の適地選定計画論の発展に貢献する。研究には主に、社会調査データに空間解析を組み合わせて進める。 2020年度はまず、Google Earth Engineを用いて、自然体験の指標となる緑被率の都市集積地域ごとに算出し、緑被率や緑被の分布の違いとその要因を検証した。その結果、自然体験の機会を視標する緑被の分布と人口密度の間に一定の関係性があることが認められた。また、視覚的に自然を体験することから人々が感じる印象について、首都圏内の事例地区を対象に、緑被以外の要素との相補的な関係性に着目した調査分析を行った。その結果、視野内の空の占める割合によって、緑被が与える印象が異なる傾向を確認できた。さらに、文京区を主な対象として、昆虫の鳴き声に関する自然体験頻度に関するウェブでの質問表調査を実施した。同時期に野外での生物調査をあわせて実施することにより、野外調査で確認された鳴き声と住民が認知している鳴き声の間のギャップが種ごとにどのように異なるのかを検討した。最後に、日本の都市における自然体験について、郊外の二次的自然について着目して知見を整理した書籍を執筆し、出版された。具体的には、自然体験のリファレンスとなりうる過去の時代における都市住民による二次的自然の体験の種類と、具体的に体験されていた種について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの問題により、自然体験の行動が平常時と大きく異なり、また遠方での研究活動も制限される状況となったため、所属機関周辺での自然体験調査を一部行ったもの以外では、日常的な自然体験の研究を十分に展開することが困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も新型コロナウィルスの影響は続くと考えられるため、所属機関が変更になったことも踏まえて、研究計画を柔軟に運用していく。具体的には、教師データ作成を含む衛星画像分析の高精度化、過去の自然体験行動の分析に関するデータセット整備を展開することを想定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの問題により、自然体験の行動が平常時と大きく異なり、また遠方での研究活動も制限される状況となったため、質問紙調査などの日常的な自然体験に関する研究を十分に展開することが妥当でないか、あるいは困難であったため。
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