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2018 年度 実施状況報告書

国立公園のアイデンティティーの獲得に向けた昭和初期における国立公園成立史の拡充

研究課題

研究課題/領域番号 18K14487
研究機関東京大学

研究代表者

水内 佑輔  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40768602)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード国立公園 / 造園学 / 風景計画
研究実績の概要

現在、国策的なインバウンド観光の推進の手段として国立公園が位置付けられる中で、国立公園の方向性の転換が生じている。インバウンド観光への対応の円滑化のためにも国立公園とはどういった制度・空間であるのかというアイデンティティーが問われる。本研究は、日本の国立公園のアイデンティティー獲得を大きな狙いとした造園史研究であり、国立公園やその計画思想はどういった社会関係のもとに構築されてきたのかを史資料による歴史的分析を通じて明らかにするものである。
本年度は、国立公園法制定後の国立公園の区域指定や施設計画などの実体化の局面において人為が介入しない原生自然型を理想とするアメリカ型の国立公園の理念と、日本の国情という実際のズレがどれほどであったのか、そのズレに従って理念や計画思想がどのように修正されていったのかの検討を試みた。この観点から、国立公園内で面積が大きく、牧畜などが営まれていた「原野」に着目しその対応を検討したが、国立公園の理念とのズレは認識されつつも、「原野」自体の景観的価値も認識の上、現実的に対応可能な問題として認識されており、1930年代前半においては、国立公園の計画思想を巡った深刻な問題となっていなかったことを明らかとした。このように、1930年代前半の国立公園の実体化の局面に於いては、アメリカ型の国立公園を普遍的な国立公園のモデルとしながら、日本での国立公園の実現を目指しており、日本固有の歴史文化的資源の重視されていなかったことを明らかとした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

資料の収集など予定していた通り順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

戦時体制下においては国立公園の計画思想の転換が強いられる一方で「自然公園体系」
という国立公園の理念レベルでの精緻化が行われ、この延長線上に戦後の国立公園行政が
展開されている。時代背景をふまえて理念と実体のズレを前提に、戦時体制下の国立公園の計画思想を明らかにする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 戦前戦中期の国立公園の思想・計画 : 造園雑誌にみるその実践と混沌2018

    • 著者名/発表者名
      水内佑輔
    • 雑誌名

      風景計画研究

      巻: 3 ページ: 15-18

    • オープンアクセス
  • [図書] 実践 風景計画学 ―読み取り・目標像・実施管理―2019

    • 著者名/発表者名
      古谷 勝則、伊藤 弘、高山範理、水内佑輔 (編著)
    • 総ページ数
      164
    • 出版者
      朝倉書店
    • ISBN
      4254440294

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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