研究課題/領域番号 |
18K14490
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
栗原 洋介 静岡大学, 農学部, 特任助教 (70814359)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 枯死木 / 哺乳類 / 昆虫 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ニホンザルによる昆虫食が枯死木分解速度にあたえる影響を解明することである。そのために、「研究①サルがどのような特性をもつ枯死木を壊すのか」「研究②サルはいつ、なぜ枯死木を壊すのか」「研究③サルはどれくらい枯死木を壊すのか」を研究課題として設定した。 本年度は、研究③に関連する枯死木分解実験を継続し、研究①②に関連するサルの行動観察と森林内の枯死木現存量調査を実施した。2019 年に屋久島・西部林道沿いに設置した枯死木調査プロット 10 箇所において、サル排除実験を継続している。対象の材を複数個に分割し、一方はそのまま放置、他方はサルが破壊できないようにネットで覆った。定期的に材の写真撮影を行い 3D モデルを作成することで、材の表面積・体積のデータを蓄積している。また、自動撮影カメラを用いて動物の訪問および枯死木とのコンタクトを調べている。サルはすべての材を訪問し、すべてのプロットでそのまま放置した材がサルによって大きく破壊された。想定よりも早く実験が進んだため、よりロバストな結論を得ることを目指し、本年度に調査プロット 10 箇所を新設した。 また、前年に引き続き、ニホンザルの行動観察を行い、サルによる枯死木破壊行動のデータを収集した。森林内の枯死木現存量調査では、50 m 四方のプロットを 8 つ(合計 2 ha)設定し、枯死木のサイズ、腐朽タイプ、腐朽度、種名などを記録した。得られたデータをもとに屋久島海岸林の枯死木現存量を推定し、ニホンザルの行動との関連を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ収集上の課題がおおむねクリアされ、データを蓄積する段階となった。前年に引き続き、サルの行動と枯死木現存量のデータを収集することができ、枯死木放置実験では調査プロットを新設するなど、よりロバストな結論を得るためのデータ収集にも着手できた。
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今後の研究の推進方策 |
枯死木のモニタリングと自動撮影カメラを用いた動物調査を継続し、枯死木の体積減少とそれに伴う動物と枯死木の関わりの変化(訪問頻度や行動など)のデータを蓄積する。また、ニホンザルの行動観察も継続し、森林内に存在する枯死木の特性とサルの枯死木破壊行動の関連を明らかにするためのデータを収集する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症による学会のオンライン化および野外調査の期間短縮のため次年度使用額が生じた。翌年度の旅費として使用する予定である。
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