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2018 年度 実施状況報告書

スギ材のセシウム濃度にサイト間差が生じる要因の解明:年輪生態学的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 18K14496
研究機関国立研究開発法人森林研究・整備機構

研究代表者

大橋 伸太  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70754315)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードセシウム濃度 / 個体間差 / 肥大成長量 / 生材含水率
研究実績の概要

スギの幹材のセシウム濃度に個体間差及びサイト間差を生じさせる要因を解明するため、福島県川内村のスギ林2サイトにおいて各サイト15個体を対象として過去の平均肥大成長量、幹材の生材含水率及び安定セシウム濃度を調べた。また、セシウムと同じアルカリ金属であり、森林生態系内の挙動が似ていることが知られているルビジウムの濃度もあわせて調べた。
過去10年や20年の平均肥大成長量を算出するにあたっては正確を期すために年輪幅データを用いたクロスデーティングを行い、全ての個体で上手く年代を決定することができた。これにより同一林分内でも個体によって平均肥大成長量(年間の断面積増加量)が10倍以上異なっていることを把握することができた。幹材の生材含水率は個体によって2倍程度の差が見られた。そして幹材のルビジウム濃度は個体によって10倍ほど異なっていたが、セシウム濃度は個体によって50-100倍ほど異なっており非常にばらつきが大きいことが明らかになった。
このような幹材のセシウム濃度やルビジウム濃度の個体間差と過去の平均肥大成長量や生材含水率との関連性を調べたところ、ルビジウム濃度は肥大成長量が多く生材含水率が高いほど高いという関連性が見られたが、セシウム濃度にはそのような明確な関連性は見られなかった。なお、セシウム濃度とルビジウム濃度の間には弱い正の相関が見られたが、その関係から大きく外れている場合も多いことがわかった。
現段階では幹材のセシウム濃度の個体間差を説明する要因の特定には至っていないが、今後は幹材の炭素安定同位体比を測定することによって樹木の過去の平均的な水利用効率を推定し、セシウム濃度との関連性を調べる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

試料採取や過去の肥大成長量の分析、セシウム濃度等の元素分析を予定通り行うことができたが、水利用効率の分析が装置の不調やメンテナンスがあったためやや遅れている。しかし、分析試料の準備はできており、装置復旧の目処も立っているため、この遅れは次年度の早い段階で解消できる見込みである。

今後の研究の推進方策

当年度は主に幹材のセシウム濃度の個体間差を明らかにすることを目的とした研究設計であったが、次年度は新たに2サイトを対象に加え、個体間差だけでなくサイト間差を説明するための研究を行う。

次年度使用額が生じた理由

当年度計画していた水利用効率の分析が装置の不調・メンテナンスでやや遅れたため次年度使用額が生じた。水利用効率の分析に必要な消耗品費や人件費に使用する計画である。

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公開日: 2019-12-27  

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