研究課題/領域番号 |
18K14509
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
中山 直英 東海大学, 海洋学部, 特任助教 (40781894)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 分類学 / 生物多様性 / 形態学 / 深海魚 / 国際共同研究 |
研究実績の概要 |
研究期間(3年を予定)の2年目となる令和元年度は,トウジン属の種多様性が最も高い東南アジア海域やその隣接海域において調査研究を重点的になった. (1) 南シナ海北部および台湾東部で実施された調査航海(台湾・フランス・日本の研究機関が参画した深海生物の国際共同研究)に参加し,これまでほぼ手付かずであった産地から,トウジン属を含むソコダラ科の生鮮標本および組織切片を多数得た. (2) タイ国の研究機関において所蔵標本の現地調査を行い,アンダマン海のソコダラ科魚類相を検討した.インド洋北東部における本科の種多様性は,19世紀以降まとまって研究されていない.本海域に分布する既知種のうちトウジン属の複数種では,形態的な特徴やその種内変異が不明であった.本年度に実施した標本調査によりそれらが明らかとなり,当該種の分類学的な実態をおおむね把握することができた. (3) 静岡県と愛知県において底曵網漁業の混獲物の調査を行い,トウジン属を含むソコダラ科の生鮮標本および組織切片を新たに得た.また,国立科学博物館と高知大学理工学部に保管されている本属の標本を検討した. (4) 昨年度までに発見していたヤリヒゲ亜属の2未記載種のうち,1種に関する記載論文をロシア科学アカデミーおよび北海道大学の研究者と共同で出版した.一方,残りの1種については学会で発表を行なった.また,台湾南部産の魚類図鑑を分担執筆し(ソコダラ科を担当),その中で本属の7種を報告した. (5) 研究の過程で発見した深海性魚類の異名,分布,生息環境,および生態行動に関する新知見を学術論文として報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
秋までに予定していた国内外でのフィールドワークや博物館調査を,おおむね完了させることができた.また,本研究課題の初年度に研究環境の整備がほぼ終わり,所属先での標本観察や論文執筆の体制が整ったため,研究成果を順次公表・出版することができた.しかし,新型コロナウイルスの国際的な流行により,冬以降(3月)に本格的に予定していた欧州および東アジアでの博物館調査がすべてキャンセルとなった.そのため,当初の研究研究計画からは「やや遅れている」と言わざるを得ない.
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今後の研究の推進方策 |
欧州,米国,アジアなどの海外研究機関を訪問し,学名の基準となるタイプ標本を含めた所蔵標本の調査が必要であるが,新型コロナウイルスの国際的な流行により,予定が立たない.国外からの標本借用も同様の理由でストップしている.そのため,手元の標本の検討,属内の系統関係の解明,および論文の執筆を重点的の行う予定です.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの国際的な流行により,当初予定していた欧州および東アジアでの博物館調査がすべてキャンセルとなったため.次年度の旅費および調査関連の消耗品購入に当てる.
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