研究実績の概要 |
研究期間の3年目となる令和2年度は,日本周辺の北西太平洋に出現する種を重点的に再検討した.本海域に2新種を含む25種が分布することを明らかにし,新種記載を行うとともに,学名の同異が混乱していた普通種や,形態学的情報が不足していた稀種を再記載した.異名関係では従来の研究で有効とされてきたテングヒゲCoelorinchus productus Gilbert and Hubbs, 1916,ホシヒゲC. asteroides Okamura, 1963,およびマバラヒゲC. sparsilepis Okamura and Yatou, 1984が,それぞれネズミヒゲC. anatirostris Jordan and Gilbert, 1904,カタヒゲC. hige Matsubara, 1943,およびソロイヒゲC. parallelus (Gunther, 1877)の新参異名であることを明らかにした.また,これまでタイワンソコダラC. formosanus Okamura, 1963の新参異名として考えられてきたC. abbreviatus Chu and Lo, 1963とC. intermedius Chu and Lo, 1963を,ヤリヒゲC. multispinulosus Katayama, 1942の新参異名として認めた.さらに,上記の25種を形態学的特徴から8種群+1種[テナガダラC. macrochir (Gunther, 1877)]に整理し,これらの種群に含まれる他海域産の種を明らかにした.この過程において,本属全有効種の形態学的特徴を検討・整理した.これらの研究結果を,同海域に出現する他のソコダラ科魚類の分類学的成果とともに,380ページ超のモノグラフとして出版した.
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