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2020 年度 実績報告書

ストレス環境学習によるストレス耐性訓練の実用化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K14512
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

高橋 宏司  慶應義塾大学, 法学部(日吉), 助教 (70723211)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード学習 / ストレス / グルコース / 個性
研究実績の概要

ストレス耐性の高い種苗作りを目指して、日常的な軽度のストレス経験によるストレス耐性の向上効果を検討した。最終年度である2020年度はCOVID-19の影響による研究自粛のため9月以降から実験を開始した。
本年度は手網による追尾ストレスに注目して、ストレス耐性の訓練について検討した。ゼブラフィッシュでは、2週間の追尾処理を施した後に加温ストレスおよび空中暴露ストレスを与えて、血中グルコースの測定によってストレス状態を検討した。追尾処理区の個体では若干のストレス耐性の向上効果がみられたが、ストレス耐性の向上効果の個体差が大きく顕著な効果は確認されなかった。キンギョでは、追尾処理と空中暴露処理を合わせて訓練(2週間)を行ない、ストレス(加温ストレス、空中暴露ストレス)を負荷した後の行動テストを行った。訓練によるストレス耐性向上効果の傾向はみられたが、顕著な差はみられず、この理由として対照区においてもストレス負荷時に不安・恐怖行動をみせる個体が考えられた。今後、新たな訓練方法を開発し、多様な魚種に適用できるストレス訓練手法を明らかにすることが求められる。
本研究に関連する研究として、魚類のストレスがどのような経験によって誘発および促進されるのかを検討した。具体的には、警報物質処理に対するストレス効果の検討を行い、ゼブラフィッシュでは自己の皮膚から採取した警報物質においてもストレス反応が現れることを明らかにした。また、魚釣りによって経験する釣り上げが魚類のストレス応答およびストレス回避行動を促進することを明らかにした。さらに、ゼブラフィッシュでは、赤い光を点灯した環境で手網追尾処理を施すと、通常環境の魚よりもストレス応答が強くなることが示された。今回明らかにされたストレスを誘発・促進する刺激は、魚類のストレス耐性訓練への適用においても重要な知見となることが期待された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Angling gear avoidance learning in juvenile red sea bream: evidence from individual-based experiments2021

    • 著者名/発表者名
      Takahashi Kohji, Masuda Reiji
    • 雑誌名

      Journal of Experimental Biology

      巻: 224 ページ: -

    • DOI

      10.1242/jeb.239533

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 社会学習による行動伝播の生態学における役割2020

    • 著者名/発表者名
      持田浩治, 香田啓貴, 北條賢, 高橋宏司, 須山巨基, 伊澤 栄一, 井原泰雄
    • 雑誌名

      日本生態学会誌

      巻: 70 ページ: 177-195

    • DOI

      10.18960/seitai.70.3_177

    • 査読あり
  • [学会発表] 狭い飼育環境がメダカの成長におよぼす影響と対策の検討2021

    • 著者名/発表者名
      高橋宏司
    • 学会等名
      令和3年度日本水産学会春季大会
  • [学会発表] 水産学からみる魚類学習心理学2020

    • 著者名/発表者名
      高橋宏司
    • 学会等名
      日本動物心理学会第 80 回大会
    • 招待講演
  • [学会発表] マダイは釣りエサを上手に食べる? 仕掛け回避学習による摂餌技術向上の可能性2020

    • 著者名/発表者名
      高橋宏司
    • 学会等名
      第39回日本動物行動学会
  • [図書] 養殖ビジネス 連載 養殖技術講座 ―明日から使える!魚類心理学2020

    • 著者名/発表者名
      高橋宏司
    • 総ページ数
      76
    • 出版者
      緑書房

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公開日: 2021-12-27  

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