研究課題
若手研究
本研究では、水産人工種苗の放流後減耗の一因が、腸内細菌叢の多様性に関係していると仮説を立て、マダイ人工種苗を用いた給餌飼育実験とトラフグ放流経験群、飼育群を用いて腸内細菌叢を調査した。結果、マダイの給餌飼育実験では腸内細菌の多様性に変化は無かった。しかし、トラフグの放流経験群と飼育群で多様性に有意な差が見られた。トラフグの場合、放流後に腸内細菌叢の多様性を高める必要があることから、多様性の低さが減耗の一因になる可能性が考えられた。
分子生物学
水産資源の持続的な利用を維持するため、資源状態に基づいた種苗放流が必要であるが、放流後減耗によって効果的ではない。減耗の一因が腸内細菌叢つまり摂餌の違いによって起こっている可能性を指摘し、調査したところ、トラフグ人工種苗では放流経験群で腸内細菌の多様性が高かった。人工種苗生産時に天然に近い腸内細菌叢を構築することで、放流後の餌料環境に馴致しやすく減耗が低減できる可能性を示唆した。本研究が継続的に実施され、仮説が証明されることで、餌開発につながり水産資源の増加に貢献できると考えている。