持続可能な水産業の推進のためにも、完全養殖のカギを握る種苗生産過程における胚や仔魚のへい死を減らす必要がある。これまで、卵質に関わる物質が様々に研究されているが、実際に胚や仔魚の体内で起こる生理的な現象を理解する試みに乏しい。本研究では、細胞内貯蔵糖質として働くグリコーゲンについて検討した。グリコーゲンは卵内に貯蔵されることから、母親の飼育環境の調節により卵への貯蔵量を人為的に調節でき、卵質に影響を与えることができると推察される。本研究でグリコーゲンの蓄積・利用過程がある程度見えてきたので、今後は種苗生産への応用を見据え、グリコーゲンの生理的な役割を決定していく必要がある。
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