研究課題/領域番号 |
18K14526
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
須藤 竜介 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 増養殖研究所, グループ長 (60722676)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 熱帯ウナギ / ニホンウナギ / オオウナギ / 交雑種 |
研究実績の概要 |
オオウナギとニホンウナギの交雑種(F1)とF1の母親を共通に持つニホンウナギの仔魚をシラスウナギまで飼育した。また、交雑種の作出に用いた雄の精子は一部凍結保存した。交雑種とニホンウナギの受精率はどちらも約95%であり、ふ化率はニホンウナギは70%で交雑種は80%であった。5日齢仔魚から小型の水槽で常法に従いシラスウナギまでの飼育を試みた。 生残率の推移は、両種ともに40日齢までに大きく減耗し35%以下となり、160日齢時点で、ニホンウナギは7%、交雑種は10%であり、顕著な違いは無かった。仔魚期の成長を調べたところ、飼育初期(60日齢まで)の成長はニホンウナギに比べ、交雑種がより早く成長する傾向が認められた。しかし、飼育後期になると交雑種とニホンウナギで顕著な成長の違いは無かった。シラスウナギへの変態は152日齢においてF1の中からシラスウナギへと変態する個体が現れた。一方、ニホンウナギは160日齢時点においても変態開始個体は現れなかった。 交雑種とニホンウナギの189日齢になった日に台風19号が飼育している静岡県石廊崎に高潮時の満潮時に上陸してしまい、その影響により飼育施設が高波に飲まれる被害があった。この影響で飼育していた交雑種とニホンウナギの仔魚およびシラスへと変態した個体が全て流出し飼育試験の中断を余儀なくされてしまった。さらに、注水ポンプなど飼育に必要な設備も甚大な被害を被ったため、研究の再開ができず、研究に大幅な遅延が生じてしまった。 この状況を受けて、新たな交雑種の作出が必要となった。そこで、奄美大島に生息するオオウナギを調達を試みたところ、催熟可能だと予想されるオオウナギを5尾確保することができた。確保したオオウナギは催熟に向けて畜養した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度は、オオウナギとニホンウナギの交雑種を作出し、交雑種の仔魚の飼育を実施していた。仔魚の変態が開始し始めた10月に台風19号により、飼育施設が高波の被害に遭い、飼育していた仔魚を全て流出して失ってしまった。さらに、水中ポンプ等にも被害があり、飼育再開にも時間がかかった上、飼育スペースもなくなってしまい、交雑種の作出の再開の機会が無く、ほぼ1年間分の研究の遅滞が生じてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、再度交雑種第1世代の作出を試みる。具体的には雌のニホンウナギを催熟させ、雄のオオウナギの精子を用いて1対1交配により交雑種を作出する。同時に、同じ母親に由来するニホンウナギを作出する。両群を飼育し、仔魚期の成長や変態時期等を比較する。同様の実験を2回繰り返し、ニホンウナギと交雑種の仔漁期の違いを調べる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度の台風19号(ハギビス)の影響により飼育試験を中断せざるを得ない状況になったこと、さらに飼育施設にも甚大な被害があり、飼育試験の再開ができなかったことから、次年度使用額が生じる事態となった。
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