本研究課題は、リスク情報を中心に食品に関する様々な情報に対し、消費者がどのように認知し、態度などを変更するかを目的としたものである。 最終年度は、相反するリスク情報などに直面し、リスク評価に対して確信を持てない状況が、消費者の不安の形成に与える影響を分析した研究がJournal of Food Researchに掲載された。この研究では、食品中に含まれる放射性物質の安全性に対して、消費者が安全性を高いと評価している場合、自己のリスク評価に対する分散の大きさが不安を高めるのに対し、危険性が高いと評価している場合は、分散の小さい方が、不安が強くなることを示している。 また、地元農産物に対する情報提示が、地元産農産物に対する関心の形成に与える影響について、精緻化見込みモデルや親近感など認知科学のアプローチから分析した研究が、食と緑の科学に掲載された。この研究では、松戸市内の高校生に対して、地元の矢切ネギについての説明をした時に、食や地域、農業に対する関心の高い生徒や、事前に矢切ネギのことを知っていた生徒の方が、矢切ネギに対する関心が高まりやすいことを示している。 さらに、食品添加物(保存料)や塩分の過剰摂取、食品ロスについてのコミュニケーションメッセージの提示方法が、消費者の心理・認知に与える影響を分析するために、マクロミルの提供するミルトークによる調査を行った。そのデータは、学会報告および論文として公表するために、現在分析中である。
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