研究課題/領域番号 |
18K14528
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研究機関 | 農林水産省農林水産政策研究所 |
研究代表者 |
村上 智明 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 主任研究官 (60748523)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 酪農 / 農業関連産業 / 産業集積の経済 / 統計分析 |
研究実績の概要 |
本年度は昨年度に引き続き酪農経営から収集したデータの整理・分析と産業集積の経済の要因たりえる農協子会社・コントラクター・TMRセンター・農業試験場等の関連産業及び酪農経営の聞き取り調査を行った。 収集したデータの分析及び聞き取り調査からは、酪農経営間の情報交換ネットワークは特定の技術情報を中心とする高技術水準の経営では比較的盛んに情報交換が行われる傾向があるものの、多くの経営の情報源は農協や獣医などの関連産業者に限られており、情報交換そのものは比較的低調なことが明らかとなった。一方で、近年の生産技術は高度化が進んでおり、そうした技術を活用したい経営においては勉強会等が情報収集の場として機能していることも伺えた。 関連産業の聞き取りからは、ICT等の高度な技術情報に関しては農協連等の比較的広域でも担当者間の情報交換話されていること、ヘルパー等関連産業によっては道東の酪農地帯でもニーズを満たすほどの人材確保が困難なことなどが明らかとなり、産業の集積による効果はあるものの、一次産業そのものも性質による人材不足については克服が困難な状況も明らかとなった。地区によっては地区単位で高度なICT技術のシステムの導入を図っているが、こうしたシステムの作成には地区内での関連産業の貢献が大きく、技術の進展によって今後一層産業の集積としての規模・能力が重要となってくることも予想された。また、育種等の技術そのものの進歩については産地よりも大きな単位での産業規模が重要となり、産地単位の集積では検討しきれないことも予想された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナパンデミックの影響で2022年度中盤までは思うように現地調査ができなかったことが尾を引いている。
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今後の研究の推進方策 |
取得した個票データをもとに内生性を考慮した生産性の計測を行い、現地調査結果をもとに解釈を進めることである程度の結論には至るものと考えている。一方で、当初の想定よりも広い範囲での産業集積の経済が発揮される可能性や技術進歩が進むに連れて生じうるであろう産業集積の経済の重要性の増加については本研究の範囲では検証が難しく、本研究以降の研究課題となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナパンデミックの影響で必要な聞き取り調査が一部行えていない。 繰り越し分は現地調査の旅費に使用する。
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