本研究では、AI技術を用いて、地域農業における将来的な農業経営体数や農地利用状況の変化を予測できるような地域農業動向予測モデルを開発することを目的としている。 最終年度は、最新データである2020年センサス個票を用いて、農業経営体数予測モデルの予測精度の検証を行い、その結果をふまえたうえで、モデルの改善を実施した。具体的には、ニューラルネットワークを用いて従来の経営体の属性(内的要因)に加えて、地域に関する要因(外的要因)を考慮できるような新たな構造のモデルを開発した。当モデルにより従来のモデルに加えて、予測精度の向上がみられた。また、新たなモデルを用いて、2020年以降の各市町村や旧市町村の農業経営体数、離農に伴う供給農地面積を予測し、予測値データベースの形でまとめるとともに、それらをユーザに提供するためのWAGRI向けの新たなAPIを開発した。 本研究は研究期間全体を通じて、AI技術のひとつである機械学習を用いて、従来手法よりも高精度に地域農業動向を予測可能なモデルを構築した。加えてXAI(Explainable AI:説明可能なAI)の手法により、離農に影響している経営体の属性について明らかにした。 また、社会実装に向けて、ユーザが予測値を閲覧・利用できるようなWAGRI向けのAPIやWebアプリケーションを開発した。さらに岩手県のいくつかの市町村と連携して、人・農地プランの実質化等の取り組みの際にモデルや予測値の活用を行い、現場での活用可能性について検証した。
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