研究課題/領域番号 |
18K14541
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
李 裕敬 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (80736281)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 農村コミュニティビジネス / ソーシャルビジネス / 経営戦略 / 信頼関係 / パートナーシップ / 組織間関係 / 農業法人 |
研究実績の概要 |
本研究は,韓国の農村におけるコミュニティビジネスを営む農業経営体の形成メカニズムについて,経営戦略の視点から分析するとともに,地域の多様な主体との関係性の分析に基づき農村コミュニティビジネス(以後,農村CB)の成立条件を明らかにすることを目的としている。 今年度は9月に韓国での現地調査を実施した。行政において優良マウル企業として選定された5つの事例に対し,マウル事業の立ち上げ動機,事業内容,事業成果,マーケティング戦略,組合員および利害関係者との関係,コロナによる影響と改善策,経営課題についてヒアリング調査を行った。また,マウル企業や社会的企業の商品展示会においてマウル企業が製造している商品やサービスについて調査した。その結果,いずれの事例でもリーダーの経歴に共通点が見られ,各事例のリーダーは一度地域外で農業以外の分野を経験している。そして帰農後,マウル住民と力を合わせてビジネスを立ち上げ,事業を展開している。コミュニティビジネスにおけるキーパーソンの重要性は言うまでもないが,彼らが持つ新たなネットワークやマーケティング力が事業の成敗に関わっていることが確認された。一方で,商品に関しては,地域特産物を活用した加工品の製造・販売,農村や伝統をコンセプトにした体験事業に限定されている傾向があり,商品の種類が手作り味噌や醤油,豆腐と限定され,企業間で重複している。さらに,体験事業に関しては,コロナ感染症の拡大により学校からの体験学習依頼が例年より大幅に減少したことで運営に打撃を受け,新たな収益源を模索している。構成員の高齢化が進んでいる中,商品やサービスの開発に対する専門的な知識やマーケティング能力が乏しいなど様々な運営課題を抱えていることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
韓国国内の農村コミュニティビジネスに関する先行研究の情報収集を行うとともに,現地の有識者にコンタクトを取り,直近の関連制度や経営体の動向に関する情報を入手し,現地調査を実施した。現地調査で得た情報を反映し,マウル企業を対象としたアンケートを設計して調査を依頼する予定であったが,委託調査先と調査対象との間でコロナウイルス感染症状況での調査方法や日程などの調整等の都合により,予定していた現地調査およびアンケート調査を実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に実施する予定であった現地調査およびアンケート調査を2023年度に実施する予定である。ただし,コロナウイルス感染状況次第と見込んでいる。そのため,現地のリサーチ機関にコンタクトを取り,委託調査ができるよう準備を進めている。また,調査データの確保ができ次第,データ分析と内容を取りまとめ,学会などで研究成果を発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査とアンケート調査を実施する予定だったが,現地のコロナウイルス感染症の状況と,調査先および委託調査機関との調整の都合により,年度内に実施できず,次年度(2023年)に実施することになった。
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