本研究では農村コミュニティビジネスを取り上げ、その成立条件と体系化を図った。事例調査を通じて個人事業型と共同事業型に類型化することができた。個人事業型は農村の諸問題を解決する目的で事業を立ち上げたものの、地域への貢献や関り方が限定的であった。共同事業型は農村民泊や収穫体験、伝統儀礼体験などを主要事業とする事例が多く、参加者の役割分担、利益配分が重要な要素であることが確認された。また、血縁関係で構成されている集姓村ではCB事業の立ち上げは容易なものの、コンフリクトが生じやすく、事業の拡張や担い手の確保が困難であり、こうした傾向は伝統的な集落構造を維持している事例ほど強く表れることが示された。
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