食品冷凍に伴う品質劣化防止に対するアプローチは、氷結晶の生成挙動の理解および制御に多くの力が注がれてきた。その一方で、水は溶質を排除しながら結晶を形成するため、食品成分は濃縮を受ける。凍結濃縮層内の諸反応は低温貯蔵下もしくは解凍過程で進行するためにその場観察が難しいことからか、濃縮層内での諸反応に関する知見は少ないが、食品冷凍技術の向上に対して、食品の凍結濃縮層で起こる諸変化を体系的に理解する必要がある。本研究の学術的意義は冷凍食品の濃縮層内の成分同士の影響に着目し、その機構解明を目指した点にある。
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