研究課題/領域番号 |
18K14562
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研究機関 | 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター |
研究代表者 |
松川 みずき 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 任期付研究員 (50782637)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ネットトラップ / トビイロウンカ / 殺虫剤 / 東南アジア |
研究実績の概要 |
イネウンカ類は、季節風により越境することで、アジアの広範囲に分布する稲の重要害虫である。近年、複数の殺虫剤に対して感受性を低下させたウンカによる被害が問題視されている。インドシナ半島に位置するカンボジアおよびベトナム南部は、通年稲が大規模に栽培されウンカの常発生地域となる。しかし、ウンカ類の防除体制構築に必要なウンカの移動経路や殺虫剤感受性の状況に関しては、不明な点が多い。本研究は、同地域におけるウンカの飛来時期および移動経路の推定と、農家に使用される殺虫剤に対するウンカおよびその天敵類の殺虫剤感受性の現状を明らかにする。 初年度は、同地域でのイネウンカ類の飛来個体数変動を明らかにするため、カンボジアのベトナム国境沿いに位置するタケオ州およびスバイリエン州、タイ国境沿いに位置するバッタンバン州、ベトナム南部に位置するドンタップ省およびティエンザン省において、ネットトラップ(直径1m, 高さ10m)を設置し、日別のサンプル採集を開始した。また予備調査として農家および農薬販売店に対して、ウンカ防除に使用する殺虫剤に関する聞き取り調査を行ったところ、既存の調査により使用が確認されていたサイパメスリン、アバメクチンに加え、地域によって新規薬剤の使用が確認された。来年度以降に、これらの使用が確認された殺虫成分を用いた生物検定を行うため、カンボジアの3地点においてトビイロウンカを採集し、飼育体制を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ネットトラップの設置に想定以上に時間を要したため、調査の開始時期が遅れた。また、本年度に予定していたイネの作付時期および栽培品種の地図化に関しては、特にカンボジアにおいて地方農業政府の所持する情報が乏しく、二次データの取得が難しいことが判明した。州以下の地方行政区における農業関連部局への問い合わせ、もしくは農家への聞き取りによる関連情報の収集を検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までに、ネットトラップ調査、殺虫剤使用に関する聞き取りの予備調査、トビイロウンカの飼育を開始した。本年度は、上記の調査によるデータの取得および解析をすすめる。具体的には、ネットトラップにより採集したサンプルの計数を行い、ウンカ類およびウンカの天敵のうちカスミカメ類の個体数の変動を明らかにする。また、農家に対して殺虫剤使用に関する聞き取り調査を行う。飼育しているトビイロウンカを用いて、農家による使用が確認された殺虫剤に対する生物検定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地での調査準備に時間を要したため旅費が想定より多くかかったが、ネットトラップの購入費が抑えられたため、次年度使用額が生じた。次年度、現地調査にかかる消耗品等により、執行予定である。
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