研究課題/領域番号 |
18K14562
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研究機関 | 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター |
研究代表者 |
松川 みずき 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 任期付研究員 (50782637)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | トビイロウンカ / メコンデルタ |
研究実績の概要 |
本研究では、稲の重要害虫であるイネウンカ類の周年的発生地域であるカンボジアおよびベトナム南部を含むメコンデルタ地帯におけるウンカの発生動態と、ウンカ防除に使用される殺虫成分に対するウンカおよびその天敵類の殺虫剤感受性の現状を明らかにする。 本年度は、同地域におけるイネウンカ類の個体数変動を明らかにするため、初年度に設置したネットトラップ(高さ10m, 直径1m)によるサンプリングを継続して実施した。昨年度までに得られたデータをもとに、ウンカの採集数の増加が確認された地点・日付において流跡線解析を行いウンカの移動経路を推測した。ベトナムのドンタップ省では、2019年2月中下旬にウンカの採集数の増加が確認され、2月上旬頃に周辺水田は収穫時期であった。移出方向の風向きから、西、北西、北に位置するカンボジアやタイに移出したことが推察された。また2019年3月中下旬、6月下旬にもウンカの採集数の増加が確認され、それぞれ播種、収穫時期であり、流跡線解析の結果からベトナムメコンデルタ内の移動が推測された。新型コロナウイルス感染拡大により当初予定していた海外出張がキャンセルになったため、採集したサンプルの計数が実施できなかった。 また、PCR-RFLP法を用いた抵抗性遺伝子診断法が確立されているトビイロウンカのイミダクロプリドに関する抵抗性関連遺伝子CYP6ER1を調べたところ、カンボジア・バッタンバンおよびスバイリエン州で採集した個体では89%がヘテロ、残りはホモであり、ベトナム・ドンタップ省の個体では97%でヘテロ、残りがホモで抵抗性遺伝子を保持していたが、感受性個体は存在しなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大により当初予定していた海外出張がキャンセルになったため、採集したサンプルの計数、水田の天敵類の調査が実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は育児休暇により研究を一時停止する。研究再開後は、新型コロナウイルスの影響により外国出張が困難な場合は、現地で保存しているこれまで採集したサンプルを日本へ輸送できるか検討し、輸送後は日本で計数を行う。出張が可能になった場合は、得られたデータをもとにウンカの移動経路に関して現地調査員と詳細な議論を行うとともに、現地での天敵に関する水田調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度予定していた外国出張が新型コロナウイルスの影響によりキャンセルになり、旅費と消耗品費の次年度使用額が生じた。次年度は育児休暇により研究を一時停止する。研究再開後、外国出張が困難な場合はサンプルの輸送費および消耗品費として、外国出張が可能になった場合は出張旅費および現地調査費として執行する予定である。
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