研究実績の概要 |
ニワトリの産卵性能に関与する遺伝子群を同定するために、日本鶏品種である、ナゴヤ、ヒナイドリ、ギフジドリ、ミエジドリならびにショウコクの5品種の集団を対象に、全ゲノムリシークエンスを行い、各集団間のゲノム比較を行うことを計画している。初年度には、ナゴヤおよびヒナイドリの集団を対象に、illumina社の次世代シークエンサー(HiSeq X Ten)を用いて、個体別の全ゲノム情報の生データを、GATK、BWA、Picard toolおよびSAMtoolsを用いて、ニワトリ参照配列にマッピングした。ナゴヤ集団の解析では、総計8,563,560 SNPsの遺伝的変異が検出された。VCFtoolsを用いて、全ゲノム領域を約9万の20-KBウィンドウに分けて、産卵率および産卵性能の高/低の集団における変異パターンの違いを、Fstの指標を基にして比較した。標準化したFstであるZ-Fstの値が極めて高い領域(Z-Fst > 4)を高低の集団間において有意に異なる候補領域とした結果、産卵率の高低それぞれの集団間で有意に異なるゲノム領域が、第1-3, 5-13, 15-19, 23-25, 27染色体上に53箇所見つかった。候補領域のサイズは、平均232 KB、最小20 KB、最大2.15 MBであった。今後、ヒナイドリの情報解析に加えて、ギフジドリ、ミエジドリ、ショウコクの全ゲノムリシークエンスならびに情報解析を進めていく計画である。
|