研究課題/領域番号 |
18K14566
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
草間 和哉 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (30579149)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 胎盤 / トロホブラスト / 内在性レトロウイルス 因子 / 細胞融合 / 着床 / エピジェネティクス / ウシ |
研究実績の概要 |
本研究は、哺乳類が次世代を育むために必須である胎盤の形成機構を明らかにすることを目的としている。これまで、胚および胎盤の構成細胞である「トロホブラスト細胞」の詳細な分化・融合機構については未だに明らかにされていない。そこで、ゲノムに隠れている内在性レトロウイルス因子(ERVs)に着目し、着床前後における胚トロホブラスト細胞のゲノムの状態変化と、トロホブラス細胞の分化・融合機構から胎盤の形成メカニズムを明らかにする。初年度は、細胞培養系を用いて、トロホブラスト細胞の分化・融合に重要な因子の探索・同定を目的としている。RNA-seqを用いて網羅的に分化・融合に関連する因子を探索したところ、複数の候補因子が融合に必要なERVsの発現を制御していることを明らかにした。これらの候補因子群は、分化・融合に重要な2つのERVs因子の発現のみならず、クロマチン修飾の状態変化も引き起こしていた。こららの成果は、ウシの胎盤形成機構の一端を明らかにしただけではなく、細胞融合のメカニズムや、まだ不明な点が多くある様々な内在性レトロウイルス因子の発現制御機構を解明する重要な情報である。また、ウシにおいて、細胞融合が何を起点に誘導されるかは明らかになっていなかったが、ウシの着床周辺期の子宮組織を用いることで、着床直後から少しずつ融合細胞が増えていくことを確認した。これまでウシの胎盤形成の詳細な機構は明らかになっていなかったが、トロホブラスト細胞の融合が着床直後から開始されることを初めて組織学的にも明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、細胞培養系を用いて、トロホブラスト細胞の分化・融合に重要な因子の探索・同定、また、分化融合時のDNAおよびクロマチン修飾も網羅的に探索することを目的としている。RNA-seqを用いて網羅的に分化・融合に関連する因子を探索したところ、複数の候補因子が融合に必要なERVsの発現を制御していることを明らかにした。これらの候補因子群は、分化・融合に重要な2つのERVs因子の発現のみならず、クロマチン修飾の状態変化も引き起こしていた。また、ウシにおいて、細胞融合が何を起点に誘導されるかは明らかになっていなかったが、ウシの着床周辺期の子宮組織を用いることで、着床直後から少しずつ融合細胞が増えていくことを確認した。一方、目的の場所のクロマチン修飾は確認できたが、網羅的なDNA修飾を解析するまでには至らなかった。しかしながら、研究の進行度としては概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、初年度に遂行出来なかったDNAの修飾情報の獲得を第一に行う。その後、これまでの情報を統合して分化融合機構を明らかにしていく。また、胎盤組織から単核細胞と融合細胞を単離し、1細胞解析にて胎盤における融合細胞の役割について明らかにして行く。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に予定していた、大規模解析がサンプルの調整に時間を要して実施することが出来なかったため、その分の費用が次年度使用額として生じた。
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