研究課題/領域番号 |
18K14573
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
山崎 武志 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 主任研究員 (00414764)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ゲノミック評価 / 乳用牛 / バイアス |
研究実績の概要 |
ゲノミック評価は、実データ(後代や自身の成績)を用いずに、染色体上に分布する数万箇所の一塩基多型(SNP)を遺伝子変異のマーカーとして、個体の遺伝的能力を評価する技術である。個体の早期選抜技術であるゲノミック評価は、乳用牛の世代間隔を大幅に短縮させた。その一方で、若い父母等、実データが欠損する祖先は、リファレンス集団(ゲノミック評価のベースとなる祖先集団)に含まれない。このことにより発生する「評価のバイアス(過大または過小な評価)」が問題となっている。本研究では、リファレンス集団における祖先情報の欠損が乳用牛ゲノミック評価のバイアス発生に及ぼす影響について、仮想データおよび実際の乳用牛データを用いて検証する。 研究実施初年度は、実際の乳用牛集団を想定した仮想データの発生に取り組んだ。乳用牛の集団は、娘牛の産乳能力等に基づいて選抜された種雄牛集団(世代間隔約7年)、および実際の生産現場で選抜された雌牛集団(世代間隔約4年)の世代間隔が異なる2種類の集団によって形成されるため、世代が重複(オーバーラップ)する。既存のプログラム(QMSim (Bioinformatics, 2009)を用いて発生させた集団について、これまでの国内における種雄牛および雌牛の頭数および選抜率を考慮した選抜と交配を繰り返すシミュレーションにより、国内の選抜システムにより形成された、世代が重複する現在の乳用牛集団を模した仮想データを発生させる手法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実際の乳用牛データを用いたゲノミック評価に着手できていないため、やや遅れていると判断する。一方、当初の想定以上に、実際の乳用牛集団に近い仮想データが発生させる手法を確立できたことから、次年度以降は、これら仮想データおよび実際の乳用牛データを用いたゲノミック評価を実施する。
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今後の研究の推進方策 |
仮想データおよび実際の乳用牛データを用い、完全なリファレンス集団および直近祖先(父、母、またはその両方)が欠損したリファレンス集団を用いたゲノミック評価値を算出する手法を確立し、その評価値を比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品(ワークステーション)および消耗品類が当初計画より安価に購入できたため。やや遅れている実際の乳用牛データを用いたゲノミック評価を着実に実施するため、国内ゲノミック評価機関との連携や契約職員によるデータ整理の強化に使用する。
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