研究課題/領域番号 |
18K14585
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
村端 悠介 鳥取大学, 農学部, 助教 (30734743)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | メデトミジン / ミダゾラム / ニカルジピン / アチパメゾール / 犬 |
研究実績の概要 |
α2アドレナリン受容体作動薬であるメデトミジンは、鎮静、鎮痛、筋弛緩作用を目的として獣医臨床において用いられているが、循環抑制作用のため健康な動物に限定して使用されている。研究者は、昨年度の研究により犬におけるメデトミジンの循環抑制作用がカルシウム拮抗薬の同時投与により改善されることを明らかとした。 本年は、獣医臨床での単回投与による利用を想定し、メデトミジンとベンゾジアゼピンであるミダゾラムの混合投与時に対するニカルジピンの併用効果、及びニカルジピンの併用投与時、非投与時におけるα2アドレナリン受容体拮抗薬であるアチパメゾールの循環呼吸機能、鎮静作用への影響を明らかにすることを目的とした。実験群は、実験犬に対しメデトミジン20 μg/kg、ミダゾラム0.2 mg/kg、ニカルジピン40 μg/kgの混合静脈内投与に対し、40分後に生理食塩液あるいはアチパメゾール50、100 μg/kgの筋肉内投与を行った3群とメデトミジン20 μg/kgとミダゾラム0.2 mg/kgの混合静脈内投与に対し、40分後にアチパメゾール100 μg/kgの筋肉内投与を行った1群の計4群とした。その結果、40分までのメデトミジン20 μg/kg、ミダゾラム0.2 mg/kg、ニカルジピン40 μg/kgの混合静脈内投与は、メデトミジン20 μg/kg、ミダゾラム0.2 mg/kgの混合静脈内投与と比較し投与直後から循環機能が改善すること、犬のメデトミジン20 μg/kgに対するα2アドレナリン受容体拮抗薬の一般的な投与量であるアチパメゾール100 μg/kgは、ニカルジピン併用投与時は副作用が増強されることから、ニカルジピン40 μg/kg併用投与時におけるアチパメゾールの40分後の至適投与量はアチパメゾール50 μg/kgであることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年の研究により、犬におけるα2アドレナリン受容体作動薬であるメデトミジンとベンゾジアゼピンであるミダゾラムの混合静脈内投与による循環抑制作用が、カルシウム拮抗薬であるニカルジピンを併用することでα2アドレナリン受容体拮抗薬投与時まで改善することが明らかとなった。加えて、メデトミジン、ミダゾラム、ニカルジピンの混合静脈内投与時のアチパメゾールの至適投与量を確立した。
|
今後の研究の推進方策 |
臨床症例において、メデトミジン、ミダゾラム、ニカルジピンの混合静脈内投与の有効性を評価する。また、コンピュータ断層撮影(CT)時の使用を想定し、メデトミジン、ミダゾラム、ニカルジピンの混合静脈内投与時における多時相造影CTの適切な撮影条件を検討する。加えて、メデトミジン、ニカルジピンの持続静脈内投与が、覚醒時の犬の鎮静、鎮痛、循環呼吸機能に与える効果、全身麻酔時の犬の吸入麻酔薬の最小肺胞内濃度、循環呼吸機能に与える効果を検討する。
|