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2018 年度 実施状況報告書

リキッドバイオプシーに基づく犬腫瘍性疾患の早期診断法に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K14586
研究機関山口大学

研究代表者

上林 聡之  山口大学, 共同獣医学部, 助教 (50796414)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワードcell-free DNA / リキッドバイオプシー / 犬 / 腫瘍
研究実績の概要

犬においてcell-free DNA(cfDNA)の抽出方法は確立されていないため、まず初めに、健常犬より採取した血液から血漿を分離し、DNeasy Blood & Tissue KitおよびQIAamp Circulating Nucleic Acid Kitの2種類を用いてDNAを抽出し、Qubit3.0によって二本鎖DNA特異的に濃度測定を実施した。その結果、Circulating Nucleic Acid Kitを用いた際には、DNeasyよりおよそ10倍程度のDNA量を得ることができ、以降はCirculating Nucleic Acid Kitを使用してDNA抽出を行うこととした。
健常犬12頭より採取したcfDNAの濃度を測定した結果、血漿1mlにつき平均7.6 ng(範囲:3.6-16.4 ng/ml)のDNAを得た。また、山口大学共同獣医学部の動物臨床試験倫理委員会の承認を得て、山口大学動物医療センターに来院した腫瘍性疾患あるいは炎症性疾患の患犬より同意を得て血液を採取し、分離した血漿から同様にcfDNAを採取した。現在、炎症性疾患4例、腫瘍性疾患16例のcfDNAについて抽出または測定を実施済みである。炎症性疾患症例では血漿1mlにつき平均9.9 ng(範囲:2.6-17.5 ng/ml)のDNAを得ており、一方で腫瘍性疾患症例では血漿1mlにつき平均127.3 ng(範囲:3-640 ng/ml)であった。現在のところ、腫瘍性疾患では明らかな有意差が得られている。
また、化学療法により完全寛解が得られたリンパ腫の症例において、診断時と完全寛解時の両方で採血を行うことができた。この症例では、診断時に11.4 ng/mlのDNAが得られ、一方完全寛解時には4.15 ng/mlに低下していた。この結果を受けて、今後の症例においても可能な限り治療前と治療後、および再発時のcfDNA抽出・測定を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、犬のcfDNAの抽出と測定を行い、問題なく測定可能であり、より効率よく抽出する方法を確立した。また、動物臨床試験倫理委員会に承認を得て症例犬におけるcfDNAの抽出を始めることができた。症例数に関しては現在目標数には到達していないが、同意いただける件数は増加傾向である。

今後の研究の推進方策

引き続き症例におけるcfDNA採取を進め、目標件数に到達すれば腫瘍の良性、悪性や発生部位等によるcfDNA量の差があるかなど、サブ解析を実施する。
また、real-time PCRおよびdroplet digital PCRを用いて犬のBRAFの450番目のバリンがグルタミン酸に変化する変異を検出するため、プライマーおよびプローブを設計して検出に関する予備実験を行う。検出系が確立できれば、前立腺がんや移行上皮がんの症例のcfDNAを用いて、変異遺伝子が検出できるか検討する。

次年度使用額が生じた理由

全体として順調に推移しているものの、倫理委員会への申請の関係で臨床例での血液採取の開始が多少遅れた。今後、サンプル数が増えるに伴って、DNA抽出、測定に関連する消耗品の支出が増えることが予想されるため、次年度使用額はそれに充てることとした。

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公開日: 2019-12-27  

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