研究課題
若手研究
本研究では、健常犬および症例犬より血液を採取し、血漿に微量に含まれるDNAを抽出しその濃度を比較することで、犬の腫瘍のバイオマーカーとして利用できるかを調査した。腫瘍罹患犬は健常犬と比較して有意に高いDNA濃度を示すことが明らかとなった。また、DNA濃度は炎症マーカーであるCRPの検査値と有意に相関していることが明らかとなった。さらに、DNA濃度はリンパ系悪性腫瘍で特に高値を示していた。しかしながら、過去の報告と異なり、転移の有無とcfDNA濃度の間に相関性は認められなかった。
獣医学
本研究の結果より、犬のcfDNA濃度測定が腫瘍性疾患の早期発見に役立つ可能性が示唆された。この手法の利点は、必要なものが血液のみであるため、患者への侵襲性を低減できること、そして繰り返しの検査が可能であることである。腫瘍の遺伝子変異の検出も可能であるため、将来的な応用の可能性も期待できると考えられる。