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2018 年度 実施状況報告書

Trimethyltin投与マウス脳再生モデルにおける免疫系細胞の機能について

研究課題

研究課題/領域番号 18K14587
研究機関山口大学

研究代表者

櫻井 優  山口大学, 共同獣医学部, 助教 (00747967)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード脳 / 組織再生 / リンパ球 / マウスモデル / Trimethyltin
研究実績の概要

中枢神経組織(脳、脊髄)は再生力に乏しいことが知られている。一方で、脳内には神経幹細胞が存在しており、脳梗塞病変などにおいて新たな神経細胞が産生されることが報告されている。しかし、脳梗塞モデルなどの病変では組織傷害が強く、脳組織再生に関わる現象を捉えることが難しい。また、脳病変にはリンパ球など血中の免疫系細胞が血液脳関門を超えて侵入することが確認されているが、その役割には不明な点が多い。本研究では脳組織の完全再生が生じるTrimethyltin投与海馬再生モデルマウスを用いて、特に病変部に血中の免疫系細胞に注目して、脳の再生現象について検討する。本年度は、Trimethyltin投与海馬再生モデルマウスの海馬病変を免疫組織学的に検討し、病変部にCD3陽性Tリンパ球が浸潤することを確認した。一方で、CD79aに要請を示すBリンパ球は認められなかった。また、分葉核を有する好中球などの顆粒球系細胞も認められれなかった。このため、Trimethyltin投与モデルにおける海馬の再生にはTリンパ球が関与することが示唆された。CD3陽性T細胞はTrimethyltin投与3日後に最も多く認められ、投与7日、14日後では減数しており、病変形成の初期から、Tリンパ球が持続的に病変部に関与すると考えられた。なお、無処置対照群にはCD3陽性T細胞が認められなかった。また、蛍光標識二重免疫染色により、CD3陽性細胞にはCD3/CD4陽性ヘルパーT細胞およびCD3/CD8陽性細胞傷害性T細胞が含まれることが確認された。このため、Trimethyltin投与海馬再生モデルの病変部にはこれら複数種のT細胞が侵入し、再生現象に関与することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度計画の主要な目標であった病変部に浸潤する免疫系細胞がT細胞のみであることを確認した。また、経時的な変化を確認し、T細胞の病変部への浸潤は、Trimethyltin投与後早い段階(投与3日後)には生じ、その後減数することを確認した。加えてTリンパ球には少なくともヘルパーT細胞と細胞傷害性T細胞の2種が含まれることを捉えた。

今後の研究の推進方策

今後は、まず免疫系を抑制することでTrimethyltin投与モデルにおける海馬再生に変化が生じるかを比較検討する。具体的にはプレドニゾロンなどの免疫抑制薬を投与したTrimethyltin投与モデルを作成する。または、成熟T細胞を欠損していることが知られるヌードマウスを用いたTrimethyltin投与モデルを作成し、正常マウスから作成したTrimethyltin投与モデルの病変と比較する。これにより、免疫系細胞(特にT細胞リンパ球)が、Trimethyltin投与モデルの海馬組織の再生においてどのような働きをもつか検討する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] Expression of Stem Cell Factor in Feline Mast Cell Tumour.2018

    • 著者名/発表者名
      Sakurai M, Iwasa R, Sakai Y, Chambers JK, Uchida K, Morimoto M.
    • 雑誌名

      J Comp Pathol

      巻: 163 ページ: 6-9

    • DOI

      10.1016/j.jcpa.2018.06.005

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Enhanced neurogenesis and possible synaptic reorganization in the piriform cortex of adult rat following kainic acid-induced status epilepticus.2018

    • 著者名/発表者名
      . Sakurai M, Suzuki H, Tomita N, Sunden Y, Shimada A, Miyata H, Morita T.
    • 雑誌名

      Neuropathology

      巻: 38 ページ: 135-143

    • DOI

      10.1111/neup.12445

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2019-12-27  

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