研究課題
本研究ではイヌ乳腺癌細胞株6種類(CIPp、CTBp、CNMp、CHMp、NV-CML、17-442)のにおける長鎖ノンコーディングRNAの発現レベルを、リアルタイムPCRにより調べた。また癌に関連する一般的な各種遺伝子の発現レベルと比較を行った。調べた遺伝子は、長鎖ノンコーディングRNAのH19、HOTAIR、上皮系マーカーのE-cadherin、間葉系マーカーのN-cadherin、Vimentin、S100A4、E-cadherinを直接抑制するSnail、Slug、E-cadherinを間接的に抑制するTWIST2、幹細胞マーカーのNestin、Oct4である。ヒトにおいて胎生期や様々な癌で発現することの知られる長鎖ノンコーディングRNAであるH19が、6種類のイヌ乳腺癌細胞株のうちのCIPpで高発現していた。CIPpは上皮系マーカーE-cadherinの発現が非常にダウンレギュレートしており、代わりに間葉系マーカーのN-cadherin、Vimentin、S100A4、Snail、TWIST2、幹細胞マーカーNestinがアップレギュレートしている細胞株である。また癌の進展に関わる代表的なlncRNAの1つであるHOTAIRは、NV-CMLで高発現していた。NV-CMLもE-cadherinの発現がダウンレギュレートしており、N-cadherin、Vimentin、Nestinが比較的高い発現を示した。このようにイヌの乳腺腫瘍で初めて長鎖ノンコーディングRNAの発現が確認された。特にH19は癌の悪性度に関わる遺伝子群の発現と相関しており、癌の進展に重要な役割を果たしている可能性がある。
3: やや遅れている
予定していたDNA Microarryよりも詳細な解析が可能な次世代シークエンサーを用いることに変更したためやや進行が遅れているが、当初の計画よりも豊富なデータが得られる見込みである。
今後は、今回イヌの乳腺腫瘍培養細胞での発現が初めて確認された長鎖ノンコーディングRNA H19とHOTAIRおよび次世代シークエンス解析により候補にあがるRNAの、乳腺腫瘍組織での発現の確認と細胞実験による機能解析を行う。
計画していたDNA Microarrayからより詳細な解析が可能な次世代シークエンスに手法を変更したためやや進行と支払いが遅れているが、2019年度には予定通りの額を使用する予定である。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Laboratory Investigation
巻: 98(6) ページ: 814-824
10.18632/oncotarget.26176
Oncotarget
巻: 9(78) ページ: 34719-34734