研究課題/領域番号 |
18K14597
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
吉村 久志 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (70645241)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 長鎖ノンコーディングRNA / イヌ / 腫瘍 |
研究実績の概要 |
昨年度までの研究においてイヌ乳腺癌細胞株における発現や、悪性挙動への関与が示唆された長鎖ノンコーディングRNAの一つであるH19について、イヌの正常組織および乳腺腫瘍組織における発現を検討した。 病理解剖に供されたイヌの各種臓器の小片をRNA保存液に浸漬し、凍結保存した。病理検査に供されたイヌのいくつかの乳腺腫瘍組織からも、同様に小片を凍結保存した後で、残り組織からホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を作製し、病理診断を実施した。凍結組織はビーズ式破砕装置では最後に、RNA抽出を行い、cDNAを合成、リアルタイムPCRを実施した。 結果として、イヌの正常組織の中では骨格筋が他に比べて著しく高いH19の発現を示した。肝臓でもH19が発現していた。一方で、胃粘膜、腸粘膜、膵臓、大脳組織などでH19の発現は低値であった。イヌの乳腺腫瘍組織においては、多くの症例でH19の発現は低値であったが、一部の症例で非常に高いH19の発現を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
イヌの正常組織や腫瘍組織におけるH19の発現についてはこれまでほとんど分かっていなかったため、本年度の研究でそれらの実態がつかめたことは非常に有意義であった。しかしながら、昨年度から課題となっているin situ hybridizationの染色性の改善が本年度も達成できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
数年来in situ hybridizationの染色性の改善が課題となっているが、本年度のPCRによる解析でイヌの正常組織や乳腺腫瘍の一部でH19を非常に高レベルで発現する組織が判明したため、来年度はそれを用いてH19の組織学的解析を達成しようと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍もあり、in situ hybridization実験などのいくつかの進捗が遅れている。いくつかの試薬が世界情勢の影響もあって納品が遅れているが、来年度には入荷する見込みであるため計画通りの実験を実施する予定である。また学会の現地開催が中止となり成果の公開が十分にできていないため、これも来年度に実施する。
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