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2022 年度 実績報告書

イヌ乳腺癌の長鎖ノンコーディングRNA標的療法のためのターゲット候補RNAの探索

研究課題

研究課題/領域番号 18K14597
研究機関日本獣医生命科学大学

研究代表者

吉村 久志  日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (70645241)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード長鎖ノンコーディングRNA / H19 / in situ hybridization
研究実績の概要

本研究ではまず6種類のイヌ乳腺癌細胞株のにおける長鎖ノンコーディングRNAの発現レベルをリアルタイムPCRにより調べた。その結果、長鎖ノンコーディングRNAの一つであるH19が、イヌ乳腺癌細胞株CIPpで高発現していた。H19は、ヒトにおいて胎生期や様々な癌で発現することが知られ、癌の進行への関与も指摘されている。そこでCIPpに、イヌのH19 lncRNAと相補的な配列を有するsmall interfering RNA (siRNA)を導入し、real-time RT-PCRによりH19発現が効果的にノックダウンされていることを確認した。次に、それらの細胞を用いてBoyden chamber assayを行った。その結果、H19ノックダウン細胞の遊走細胞数はコントロール細胞に比べて統計学的に有意に減少した。さらに、同じ細胞を用いてCell tracking assayを行った結果、H19ノックダウン細胞の移動距離はコントロール細胞に比べて統計学的に有意に短いことがわかった。このように、本研究によりH19はイヌ乳腺癌細胞の遊走能に関与している可能性があることが明らかになった。
次に、イヌの様々な正常臓器におけるH19の発現をreal-time RT-PCRにより調べたところ、骨格筋では高いH19の発現が認められた。肝臓でもH19が発現していた。一方で、胃粘膜、腸粘膜、膵臓、大脳組織などでH19の発現は低値であった。またイヌの乳腺病理組織のパラフィン包埋組織ブロックから直径数ミリのコアをくり抜き、組織マイクロアレイを作製して、H19の局在をin situ hybridization法により検討したところ、少ない症例ながらも乳腺癌の癌細胞で明確な陽性像が認められた。このようにイヌの一部の乳腺癌の癌細胞で実際に長鎖ノンコーディングRNAが発現していることが証明され、それをターゲットにした治療法を試みる価値があることが示された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Gp130-Mediated STAT3 Activation Contributes to the Aggressiveness of Pancreatic Cancer through H19 Long Non-Coding RNA Expression2022

    • 著者名/発表者名
      Sasaki Norihiko、Hirano Kazumi、Shichi Yuuki、Gomi Fujiya、Yoshimura Hisashi、Matsushita Akira、Toyoda Masashi、Ishiwata Toshiyuki
    • 雑誌名

      Cancers

      巻: 14 ページ: 2055~2055

    • DOI

      10.3390/cancers14092055

    • 査読あり
  • [学会発表] Gp130/STAT3シグナル伝達は、長鎖ノンコーディングRNAのH19の発現を含む膵臓癌幹細胞の機能を調節する2022

    • 著者名/発表者名
      佐々木 紀彦, 平野 和己, 志智 優樹, 五味 不二也, 吉村 久志, 松下 晃, 板倉 陽子, 豊田 雅士, 石渡 俊行
    • 学会等名
      第81回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] 松本佳奈, 渡邉由香, 岸本拓也, 吉村久志, 山本昌美2022

    • 著者名/発表者名
      イヌ乳腺複合癌の腺上皮細胞由来培養細胞株の樹立とその特徴付け
    • 学会等名
      第31回日本動物看護学会大会

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公開日: 2023-12-25  

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