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2019 年度 実施状況報告書

ジカウイルス受容体の網羅的探索とモデル動物における病原性発現機構解析の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 18K14599
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

谷口 怜  国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (60734465)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードジカウイルス / 動物モデル
研究実績の概要

本研究の目的の一つはモデル動物における病原性発現機構解析である。
ジカウイルス感染モデルとしてマーモセットを用いて評価を行った。3頭の妊娠前期のマーモセット及び1頭の妊娠後期のマーモセットに対してジカウイルスPRVABC59株を接種し、母体及び胎児におけるウイルス感染を評価した。
妊娠前期感染マーモセットは3頭中2頭で感染後2、8日目に流産が確認された。2日目に流産を起こした個体を除いた2頭の妊娠前期感染マーモセットと1頭の妊娠後期感染マーモセットを感染後8、9日目に剖検し、その病原性の解析を行った。その結果、妊娠前期感染マーモセットにおいて、胎仔、羊水、流産後子宮内容物、胎盤から高コピー数のウイルスゲノムが検出された。また、妊娠後期感染マーモセットにおいて、胎仔の大脳、小脳をはじめとした多くの主要臓器で高コピー数のウイルスゲノムが検出された。一方で、胎仔の血中におけるウイルスゲノム量は検出限界以下であった。また、感染8、9日目、いずれの母体においても血清中に10^4-5コピー数程度のウイルスゲノムが検出された。病理学的解析では、妊娠前期マーモセットの流産後の子宮子宮内容物、妊娠を維持していた妊娠前期マーモセットの子宮内膜にウイルス抗原が検出された。
これらの結果から、妊娠マーモセットにおけるジカウイルス感染はヒトにおけるジカウイルス感染症と同様、胎仔、胎盤がウイルス増殖の場となることが示唆された。また、妊娠後期感染マーモセットの感染9日目の胎仔の血清中でウイルスゲノム陰性、組織中でウイルスゲノム陽性という結果から、感染9日目では、胎仔でウイルス血症を起こした後、ウイルスが胎仔の各組織中へ感染、血中ウイルスが排他された後、各臓器で増殖したウイルスのゲノムが検出されていると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度、モデル動物における病原性発現機構の解析は進捗したが、本研究のもう一つの目的であるジカウイルス受容体検索に関して大きな進捗が得られなかったことから、やや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

最終年度であるため、モデル動物における病原性発現機構の解析に焦点を当てた研究を行う予定である。具体的には2019年度に実施したマーモセットをモデル動物として用いた研究のさらなる病態解析及び論文としての成果発表を行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

2019年度ジカウイルスの受容体検索を実施しなかった分、使用額に差が生じた。研究計画の変更に伴い2020年度にモデル動物における病態解析、論文投稿で使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Increased Growth Ability and Pathogenicity of American- And Pacific-subtype Zika Virus (ZIKV) Strains Compared With a Southeast Asian-subtype ZIKV Strain2019

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro Kawai, Eri Nakayama, Kenta Takahashi, Satoshi Taniguchi, Ken-Ichi Shibasaki, Fumihiro Kato, Takahiro Maeki, Tadaki Suzuki, Shigeru Tajima, Masayuki Saijo, Chang-Kweng Lim.
    • 雑誌名

      PLoS Neglected Tropical Diseases

      巻: 13 ページ: e0007387

    • DOI

      10.1371/journal.pntd.0007387.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Detection of Jingmen Tick Virus in Human Patient Specimens: Emergence of a New Tick-Borne Human Disease?2019

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Taniguchi
    • 雑誌名

      EBioMedicine

      巻: 43 ページ: 18-19

    • DOI

      10.1016/j.ebiom.2019.04.034.

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Evaluation of vertical infection of pregnant marmosets with Zika virus2020

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Taniguchi, Chang-Kweng Lim, Takahiro Maeki, Shigeru Tajima, Eri Nakayama, Fumihiro Kato, Nor Azila Muhammad Azami, Yasushi Ami, Tadaki Suzuki, Meng Ling Moi, Yuriko Suzaki, Noriyo Nagata, Naoko Iwata, Tomohiko Takasaki, Ichiro Kurane, Masayuki Saijo
    • 学会等名
      U.S.-Japan Cooperative Medical Sciences Program (USJCMSP) 22nd International Conference on Emerging Infectious Diseases in the Pacific Rim
    • 国際学会
  • [学会発表] Evaluation of usefulness of Zika virus infected pregnant marmoset as a Zika virus vertical infection animal model2019

    • 著者名/発表者名
      林昌宏、谷口怜、Nor Azila Muhammad Azami、網康至、鈴木忠樹、モイメンリン、須崎百合子、永田典代、岩田奈織子、前木孝洋、田島茂、高崎智彦、倉根一郎、西條政幸
    • 学会等名
      第67回日本ウイルス学会
  • [学会発表] Development of animal model for Zika virus vertical infection using embryonic day 9.5 pregnant Ifnar-/- mice2019

    • 著者名/発表者名
      谷口怜、中山絵里、河合康洋、加藤文博、前木孝洋、田島茂、西條政幸、林昌宏
    • 学会等名
      第67回日本ウイルス学会

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公開日: 2021-01-27  

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