研究課題/領域番号 |
18K14600
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
藤井 ひかる 岡山理科大学, 獣医学部, 助教 (10734444)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ハートランドウイルス / 病態モデル |
研究実績の概要 |
ハートランドウイルス(HRTV)は近年日本においてヒト、動物における感染例の報告が増加している重症熱性血小板減少症ウイルス(SFTSV)の近縁ウイルスである。HRTVは、SFTSVと同様にダニによって媒介され、自然界で抗体陽性の動物が多く報告されていることから、今後ヒトへの感染例が増加する可能性がある。このようなリスクへの対策には、ウイルスの性質についての理解が不可欠であるが、HRTVの病態の詳細やその発現機構については未知の部分が多い。 病態発現機構の解析には、動物モデルが必要である。I型インターフェロン受容体欠損(IFNARKO)マウスへSFTSウイルスSFTSVを感染させた際に致死であることが知られている。昨年度の研究において、HRTVをIFNARKOマウスに感染させた際に致死となるモデルを確立した。HRTV感染時の病態発現の詳細な機構の解明を目指すと同時に、SFTSVのそれとの類似点または相違点について明らかにすることを目指し、今年度は以下の研究を行った。 IFNARKOマウスへHRTVを接種した際に、致死となるマウスと生残するマウスについて、接種後の症状及び体重変化を観察した。また、脳、腋窩リンパ節、肺、心臓、胃、腸管、腸管膜リンパ節、肝臓、血液におけるウイルスRNA量を経時的に測定し、各組織におけるウイルス分布について明らかにした。結果、SFTSVのそれとは異なる動態を示した。 引き続きその詳細なメカニズムを解析するために、サイトカイン量やそのウイルス増殖や病態発現への寄与について検証を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の計画の通りに、昨年度予備検討を行った病態モデルを用いた本試験を行い、ハートランドウイルス(HRTV)接種した際に致死となるマウスと生残するマウスの比較を行うことができたが、本来予定していたサイトカインの動態についての解析を予備検討までしか行うことができていないため。
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今後の研究の推進方策 |
血液検査及び血中やウイルス量が劇的にクリアランスされた組織でのサイトカインの経時的な変化について検証する。劇的な変化が見られたサイトカインについては、抗サイトカイン抗体などを使用し、in vitroおよびin vivoにおけるハートランドウイルスの増殖や病態発現への影響について検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は本年度中にサイトカインの解析の本試験まで行う予定であったが、予備検討までしか行うことができなかった。このため、サイトカイン量の測定に使用するキットを購入するための予算を次年度に繰り越す必要が生じた。
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