研究実績の概要 |
我々は以前、Mouse artificial chromosome (MAC)ベクターという人工染色体ベクターをGS細胞に導入し、Transchromosomic (Tc)マウスの作成に成功した 。人工染色体は通常の遺伝子導入方法と異なり、遺伝子発現調節や導入遺伝子のサイズの自由度などの点において利点を持つ。この手法で染色体導入されたGS細胞はES細胞よりも安定にMACベクターを保持することができたことから、本研究では人工染色体による遺伝子操作技術を用いたWマウスの遺伝子治療実験を行うことを研究の目的とした。現在、Kit遺伝子座のBACを挿入した人工染色体を作製に成功した。また、共同研究者と共に人工染色体導入のためのretro-MMCTに必要なマイクロセルの作製を行っている。さらに、kit遺伝子に変異を持つ不妊症モデルマウスのWマウスのGS細胞を樹立も進めている。本研究課題に必要な材料が揃いつつある。本研究の着想の元になったアデノ随伴ウイルスやセンダイウイルスを用いた哺乳類の精子幹細胞へのin vivo又はin vitro遺伝子導入に関する論文を出版することが出来た(Watanabe et al., Biology of Reproduction, 2019,100,2,523-534, Watanabe etal., Stem cell reports, 2018,10(5),1551-1564)。
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